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プロデューサー小橋賢児氏:ハートセンス=利他の精神で奉仕をすれば恩恵を受ける

更新日:4月14日

ウルトラ、0%、UNBORNなどなどをプロデュースし、時代を先取りしてきた小橋賢児さん。そのアイディアの根源はどこにあるのか、そして今後はどこに向かっていくのかを、お聞きしました。


(インタビュー:SMO 齊藤三希子)

<こちらの記事は、SMOタブロイド誌「TOKYO 2021」からの抜粋です。タブロイド誌全編及び最新版の全編は、こちらよりダウンロードいただけます>


 



齊藤:数々のイベントやプロジェクトを成功させる、その今の時代を捉える感覚の鋭さは、どこから来るんでしょう?


小橋:結果論として、後から振り返ると、「時代を捉えている」と言われがちですが、決して、未来を見て逆算しているとか、こういう時代が来るとかって思っているわけではなくて。今の自分の心と、そこにいる人の心にフォーカスして、必要だと思ったり、気づきのきっかけにしたいという、リアルで生っぽいところからの原動力から来ていますね。

一方で、やる途中でそれって需要あるんだろうか?という悩みもギリギリまであって・・。でもやっぱりこの人たちに届けたいとか、気づきのきっかけを作りたいと思いながら、自分自身の不安を解消したいというのもあり、自分ごと化して、見える人のことも考えながら作っています。


齊藤:「生っぽさ」というのは、ご自身の体験から生まれるのでしょうか?


小橋:そうです、今自分がどう思っているかにフォーカスすることですね。「0%」というノンアルコールバー(※1)を開いたのも、前年に会食や飲み会が多くて精神や体が疲弊していて、それをどこかで変えたいなと思いつつも変えられない自分がいて、自分自身をもう一度リセットしたいなと思ったからです。日々ごまかして傷口を無理やりお酒とかで埋めていく…、社会にそういうのは多いけど、どんどん傷口は広がっている。そんなことを思っている時に、スタッフからノンアルコールバーやりたいって言われて、いいね!と。ただ、勇気がいるんです。ウルトラ(※2)の時もそうでしたけど、ダンスミュージックじゃ何万人も入らないと言われて否定された。ノンアルコールなんて、お酒入れた方が儲かるし、市場がないかもしれない。でも、都会のど真ん中で若者が奇跡を体験したら、自分の未来、日本の未来が変わるかもしれない。そういう奇跡、気づきのきっかけを作りたいと。


僕らの世代で奇跡って見えにくいじゃないですか。もう少し上の世代の人たちは高度成長期で社会が変革して行ったのを見てるんですよね。それこそ東京オリンピックが来た時は本当に夢のようだったし、東京タワーができて、うわ、こんなに変わるんだ!って。白黒からカラーに変わって、固定電話から携帯になって。でも今は、全部が出来上がっていて、実際は変わっていても、自分たちの力で変えているという実感がない。だからきっかけづくりがしたいなという思いがあったので、勇気を振り絞ってやってみたというだけなんですよね。

それが後から、時代のニーズを先取りみたいな感じになっているんですけど、捉えてはないんですよ(笑)。自分自身の心は社会の鏡じゃないですか。社会を見ること=自分自身を見ることなので、そうした中に、必要だと思ったものを作ってきている。


齊藤:勇気がいるけど、出すものには嘘はない、本心から欲しいっていうことですよね。でも実際にできる人がなかなかいない。


小橋:普通、思考が先になっちゃうと思うんですよね。今の時代、特に情報から作るので、難しいと思うんですけど、思考が先で、心を使えていない。心を見るってやっぱり苦しい。でも本当は心が先にあって、思考は最後の道具、伝える手段として使うんです。心を先に見ると、嫌な自分も社会も見えてくるんですけど、足りない部分とか必要なことがわかってくる。


齊藤:心を見る、向き合う手法は、インドで学んだものですか?


小橋:インドだけじゃなくて、旅もするし瞑想もするけど、日常の生活の、いろんなチャレンジの中で見えてくるんです。ただ、インドというのは常識が日本と全く逆なので、その両極を知ることで真ん中を知る、自分とは違う世界を両方知ることで、今まで見えなかったものが見えてくるということはあります。御釈迦様でさえ、ハーレムと苦行の両極を知ったから悟れたと思うんです。僕はそれを意識していて、ウルトラみたいに派手なイベントをやっていると、それが当たり前になっていって、その中に飲み込まれていくので、自分自身を客観的に見たくなって、ウルトラ2年半目くらいにインドに三ヶ月、バックパック旅して。20万入れて行って、なくなったら終わりみたいな。心は心地良いところに執着して活動するけど、嫌なことには反発して逃げるくせがある。でもその中で出来上がった自分の持論って、本当に自分なのかと思うわけですよ。だから常に意識して、情報化社会だからこそ、心の内側とか、反対側から見るようにしないと、データの支配層に支配されていってしまう。この時代は意識していないと、気づいたら自分がないものになっちゃうんじゃないかなと。だから僕は最近SNSとか休業してますけど。SNSのある世界から離れて、ない世界を見ることも必要かなと思いますね。そうすると逆にSNSの良さとか、こういう風に使えばいいんだなとかもわかってくる。いつも皆と同じことをしていると、流行の中に飲み込まれて、みんなが使っているから使っている、便利だからやっていると、心がなくなってくる。自分の心ではない、情報に支配され、簡単に洗脳されるので、そこから離れるのが重要かなと思っていますね。


齊藤:何のためにやるのか、というのが活動の本質なのに、現代社会では、それを考えないままなされている活動が多いですよね。我々は、何のために会社が存在するのか?というパーパスを起点にブランディングをしているのですが、個人もそうで、なんのために存在するのかを理解して毎日を過ごす必要がありますね。


小橋:自分自身の人生は自分でクリエイトしてほしいですね。盲目的にいるのは楽で簡単なんですけど、それって本当は、生きてない。僕らは生き物だから、「イキイキ」してないと。心で動いて行動に出る方がいいなと思いますよね。情報過多の社会で情報を遮断する時間も必要だし、お酒を飲む毎日が当たり前になると、お酒を抜いてみたりっていうのも大事だし。僕の場合、10年同じことしたりとかは苦手なタイプで、やるんだったら両方をみて自分はこういうスタンスにしようという方が合っていて。だから実験なんですよね、永遠にSNSやめれるかはわからないし、永遠にお酒飲まないかどうかわからない。両極を見ることで自分の内側を見る。メトロノームみたいに、振り幅が大きいほど中心がしっかりするじゃないですか。


齊藤:では、コロナで、お仕事が変わったとか、組織のリーダーとして決断せざるを得なかったとか、反対に積極的に行ったことなど、インパクトのある出来事はありますか?


小橋:もちろん、2020年は、会社としても、これまでやって来たことが全部が中止・延期になって、変わらざるを得ない、諦めざるを得ないことばかりで、もがいても仕方がない状況だったけど、傷穴を埋めるために大きな決断をしたっていうよりは、今やれることをやるしかないっていう、執着するより、流れでどうなっていくかなと見ていく方が多くて。自然の摂理的に、こっちじゃないよ、と言われている気がして、今まで世界ばかり見ていたけど、日本中を回るようになって、日本のいろんな文化や自然、魅力に遭遇して、日本の魅力ってすごいなと。出会いのセレンディピティで、やるべき事が変わってきたというのがすごくあって、より強く思ったのは、人間も自然も元の気に戻してくべきだと。再生治癒力がすごいから、それに戻すべきだという方向に変わってきているなと。表面的なビジネスの形ではなく、それをしていきたい、という、マインド的な方に変わっていってますよね。



齊藤:今後、具体的にやっていきたいことは?


小橋:「UNBORN」(※3)は「都会のリトリート」と言っているんですけど、リトリートというと、遠く離れた大自然の中で心身ともにリセットするというイメージですが、都会にいて普段自然に行けない人にも、元に戻れる場所が日常にもあるというのがすごく大事だなと思っていて。まずは都会にいる人たちに「元の気」に戻していくきっかけづりしたと思っています。

でもやっぱり本質的には自然だと思っていて、都会のリトリートから大自然のリトリートもしたい。結構(国内を)回ってくと、自然で田んぼや畑をやっていたり、学校づくりとか、村づくりしようとしている人たちがいっぱいいて。僕の役目としてはそのどこかをプロデュースというよりは、そういう人たちをつなげていく方かな? (小橋だから)小さい橋でたくさんつなげるみたいな。ここが勝ったとか負けたとか20世紀的な戦い方じゃなくて、みんな同じ志でやってるなら、繋がろうよと。とりあえずみんな泳がして、いいルール作って繋げようみたいなことをやってくんだろうなと。今、旅に出て、いろんなプロジェクトに呼ばれてるところで、僕自身この変化がどうなっていくのかはわからないんですよね。

会社としてのビジネスは引き続きやりながらも、ここはどうなるのかわからない。情報から逆算して考えるのではなくて、流れのままに持っていってるという感じ。年末に、高野山で、SBNR(Spiritual but not Religis=無宗教型のスピリチュアル層)をテーマにポッドキャストイベントをやったんです。流れの中で出会っていった人たちで、クローズドでやったんで

すけど、いろんな人たちが来てくれて、いろんなところにつながるなと。山口周さんとか、ファッション業界のケイタマルヤマさんとか。


齊藤:GUCCIも、宗教じゃないスピリチュアルをテーマにしてやってますよね。若者の心をとらえているというか。


小橋: アメリカでは結構前から社会現象で、18歳未満の83%がSBNRと言われている。若者が教会に行かない。18歳未満の83%ってことはもう次の社会じゃないですか。SNSの影響もあるのかもしれないけど、パーマカルチャーとか、菜食主義とか、脱資本主義とか、いろんな考え方があって、いろんな世界を知ることで、精神性の豊かさを大事にする。0%もUNBORNもそれですね。もともと日本人は、八百万の神とか森羅万象とか、そもそも自然と自分を切り離してなかったんです。自然というのは自分自身も含めて自ずとあるもの、境界線がなかった。でも海外からnatureという言葉が入ってきて、nature=自然ってどこのことだ?となってじゃああの辺の木を自然ということにしようとなって、自分と切り離すようになっちゃった。もともと概念としては一緒で、僕らは自然から生かされて自然と繋がっていることが本質じゃないですか。本当は人も含めて万物は繋がっている。繋がっているということを思い出していくことが、21世紀に僕らがしなきゃいけないことですよね。もともと日本の文化の中にあったので、それを思い出すことが日本の立ち位置にすごく重要じゃないかなと。


齊藤:海外でも禅をやる人が増えていたり、日本の文化が求められているんだなと感じています。イベントをメインでされていますが、今後エンタメ業界は、どうなっていくと思いますか?


小橋:いろんな人に聞かれるけど、占い師じゃないのでわからないです(笑)。精神的な部分を大事にしている若者が増えているっていうのもありますけど、心を豊かにしていくということ、心のエンターテイメントっていうのは必要になっていくかなと。楽しむって言っても、お酒飲いで盲目的に楽しむことじゃなくて、もっと、愛に満たされるみたいな、自分の内側に触れるような直接的なものが増えていくというか。その中で、繋がりを持ちたい、WITHコロナで、より繋がりたいという意識も、強くなっていくと思いますね。

作り手だけが作ってみせるだけじゃなくて、みんながアーティストになって作っていく。クラウドファンディングとかもそうですけど、つねに自分ごとになってやっていく、よりそれが顕著になってくるなと。ルネッサンス期の再来じゃないですけど、労働がAIに変わっていくと、奪われるというよりは、時間に余裕ができて、そうした時に必要なのは、僕は「アートセンス」と、「ハートセンス」って言っているんですけど、アートを美しい、かっこいいと思うセンス。それは見るだけじゃなくて作るということもそうで、高度成長期の時はとにかく経済優先の時代で、かっこいいとかおしゃれとかどうでもよくてとにかく儲かるものを、という感じだったのが、これからは自分自身で何かを作り出すっていう、時間の豊かさ、心の豊かさ=美しさを見る豊かさになって、美しいものを見る、足りないと思ったら作る、そう作る人も増えると思うんですよね。アーティストじゃなくてもアートにもいろん

な形があるので、そういう意味では作る人たちは増えると思う。ハートセンス、それは利己的ではなくて利他的ですよね。いろんな世の中の循環を作り出すとか、見返りのない利他の愛、奉仕することが結局は自分に返って来るというのを知っていくという心のセンスだと

思うんですよ。今までは自分だけ良ければ良い、その時代の人たちが良くなればいいと思ってやってきたツケが、今回ってきているわけじゃないですか。そうじゃなくて、自分だけじゃない誰かのためになるという利他の精神で何かを奉仕すると、必ず宇宙っていうのは違う

ところから違う形で恩恵をくれる、それを知っていくってセンスだと思うんですよね。


齊藤:主語が I からWEに変わっていく。


小橋:そう、皆一つのONEなんですよ。それから、精神を豊かにするからお金がどうでもいいかというとそうではなくて、お金もエネルギーとして大事だし、両方ポジティブに捉えたいなと思いますね。二元論になると、心が優先だからと言ってお金とか経済を憎んで悪にしてしまいますが、両方のバランスをとっていくのが大事な気がします。富の豊かさを人にも分け与え、精神であればそのエネルギーを回していく。そういう人が増えていけば、富っていうのは無限にある気がしますね。人間なんてそんなに頭のいいものじゃないので、自分の頭で考えても大したものは出てこないですよ。天才とか発明家とかでも、ある時考えがポッと降りて来たみたいなこと言うじゃないですか。僕なんかは、誰かとの出会いで降りてくる。戦略を考えたりとかは無理で、それをやろうとしてた俳優時代は苦しんでいたけど、手放したほうがどんどん出会っていくんです。予測してもわからないけど、自分ができること、近いことだったらあると思うので、近いことを着実にやる。僕の場合は、イベントができないから、今、自分にできることは「0%」&「UNBORN」だったんです。これがどんな未来になるかはわからないけど、今にフォーカスするということですね。




【※1】ノンアルコールバー0%:2020年六本木にオープンした、「飲まなくても酔える」体験を実現した日本初の完全ノンアルコールバー。本格ドリンクやヴィーガンフード、

体験型メニューが用意され、朝から夜まで気軽に立ち寄ることができる。


【※2】ウルトラ:毎年3月にアメリカのマイアミで開催されている世界最大級のエレクトロニック・ダンス・ミュージックのイベント。2014年に日本に初上陸し、毎年9月にお台場で開催されている。


【※3】UNBORN:3つのエリアで、日々過剰な情報に囲まれ囚われた心をリセットするリラクゼーション体験ができる、完全会員制の新時代リトリートラウンジ。詳細は下にて。


 


小橋賢児(こはし けんじ)

1979年東京都生まれ。88年に俳優デビューし、数多くのドラマに

出演後、2007年に芸能活動を休止。『ULTRA JAPAN』のクリエイティブディレクターや『STARISLAND』の総合プロデューサーを歴任。500機のドローンを使用した夜空のスペクタルショー『CONTACT』でJACEベントアワード最優秀賞の経済産業大臣賞を受賞。「HiNODE

(ハイノード)」の企画アドバイザーを務め、都市開発や地方創生に携わる。2020年7月に完全ノンアルコールバー 「0% NON ALCOHOL EXPERIENCE」、2021年1月に新時代の

リトリートラウンジ「UNBORN(アンボーン)」をオープン(詳細は下にて)。



生まれる前の胎児のように心をゼロにリセットする新時代のリトリートラウンジ、UNBORN。「都市で過剰な情報に囲まれ、テクノロジーが人間をハックし、疎外する。その結果として、本来であれば豊かなはずの才能や創造性が失われ、一人ひとりの人生における日々の小さな"奇跡"を見出すことができていません。『心の時代』とも言われる21世紀において求められるのは、わたしたち人間が本来の姿=ゼロに戻り、心と人間性を回復していくことです。」光と音が遮断されたカプセル型空間で、塩水に浮遊することで肉体の感覚を離れ深い瞑想状態に入ることができるアイソレーションタンク、音と光を全身に浴びながら瞑想できるカラーサウンドメディテーションルーム、現代アートのエネルギーを感じゼロになった心で鑑賞するクリエイティブラウンジの3つのエリアで日々過剰な情報に囲まれ囚われてしまった心を本来の姿に解放する、全く新しい心のリラクゼーション体験ができます。

UNBORN

住所・電話番号は非公開

営業時間10:00〜22:00

会員制 http://unborn.jp