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執筆者の写真smo inc

絵本から読み解くサステナビリティの本質:平原依文のサステナビリティコラム

皆さん、こんにちは!SMOサステナビリティコンサルタントの平原です。

持続可能な「モノ」は何かと問われた時、皆さんはどんなモノを思い浮かべますか?

私は真っ先に「絵本」が頭に浮かびます。

絵本は何度も買い替えたり、大量買い大量使用したりするものではなく、一度購入した1冊をずっと使い続けるもの。そして、自分が年を重ねたり読まなくなったりした際には、弟や妹、自分の子ども、いとこ、身近な子ども等にまた読んでもらいます。

絵本はずっと受け継がれていく持続可能なパワーを持つモノ。今回は、昔から今も愛される絵本を3つをご紹介し、幼い頃に読んでいた際には知らなかった絵本の背景についてもご紹介します。



 


1)ぐりとぐら


引用元:福音館書店


1963年に誕生し、昨年誕生から60年を迎え、親子2世代或いは3世代で今も昔も多世代に愛され続ける『ぐりとぐら』には「この世でいちばん好きなのは、お料理すること、食べること」という節回しが絵本の中に登場しており、遊ぶこと、作ること、みんなで分け合っておいしいものを食べることといった子どもたちが「大好きなこと」や日常生活にある「小さな幸せ」が沢山詰め込まれています。また、その素朴さは子どもだけでなく、大人たちの心にも響くモノがあります。


数ある『ぐりとぐら』のお話の中でも特に人気なのは、大きなフライパンでカステラをつくるお話。

「こういうことをしてみたい」という共感や想像で溢れるカステラのお話は、純粋な子どもたちの好奇心を動かすだけでなく、大人たちの心もワクワクな気持ちにさせてくれます。そして、このお話が人気な秘訣は単にストーリー性だけでなく、シンプルに描かれた「絵」も重要な鍵。色鉛筆で簡単に描けそうでもあり、細かく色彩にこだわられている

『ぐりとぐら』の絵は、多世代にわたる親しみやすさを生み出しています。


多世代にわたる家族内での共有や友人への譲渡を通じて、一冊が多くの人に読まれ、繰り返し使用されることで、消費の効率化が図られます。この循環的な利用は「大量生産・大量廃棄」といった現代の消費行動とは対極にあり、環境負荷を軽減する持続可能なライフスタイルを促進しています。



2)はじめてのおつかい


引用元:福音館書店

誰かと一緒にお出かけをして、一緒に寝て、一緒に遊ぶことが当たり前な子どもたちにとって、少し大人なワクワク、ドキドキした気持ちを体験できるのが『はじめてのおつかい』。1976年に販売されて刊行されて以来、沢山の子どもたちに愛されてきた一冊です。


『はじめてのおつかい』では、みいちゃんという5歳の女の子が1人でお金を握りしめ、近くのお店に牛乳を買いに行くというお話。その道中にお金を落としてしまうなど、まるで大冒険のような展開が描かれています。

しかし、その状況や心情を短く、わかりやすく、そして大事な事柄を大切にしながら子どもたちの共感や理解につながるように表現しなければいけないのが絵本の難しいところ。ですが、『はじめてのおつかい』では、記号ではなく母音で声の強弱を表現したり、空白を使って「間」を表現したりと、1つ1つの瞬間を鮮明に表しており、初めて1人で挑戦や行動をしたことがない子どもでも、みいちゃんの視点に立ちながらお話を読み進めていくことができます。子どもたちの視点を大切にした細やかな言葉表現が、『はじめてのおつかい』が持つ愛され続けられる理由なのかもしれません。


また、子どもたちに生活の基礎を学ばせるだけでなく、自立心や問題解決能力を育む役割も果たします。質の高い教育は、持続可能な発展に不可欠であり、絵本を通じて得られる基本的な教養や価値観は、その後の人生や社会に大きな影響を与えます。読み聞かせや家庭内での学びの中で、子どもたちが創造力や共感力を育てることができ、これが持続可能な社会の基盤となります。



3)はらぺこあおむし


引用元:絵本ナビ

この絵を一度も見たことがない人はいないのではないかと思うほど、赤い顔にみどり色に長く伸びた顔が特徴的な『はらぺこあおむし』。ある小さなあおむしが蝶々になるまでという素朴なお話は1969年にアメリカで誕生して以来、世界の63の言語に翻訳され、累計発行部数は4400万部にのぼり、世代を超えて親しまれています。 日本では、1976年からこれまでに750万部が発行され、いまも、年間25万部以上が売れる異例の作品となっています。


50年以上も沢山の子どもや大人に大切され続ける『はらぺこあおむし』が愛される理由はどこにあるのでしょうか。

まず1つ目は本の仕掛けです。『はらぺこあおむし』は絵本の中でりんごや梨など様々な食べ物を食べて成長していきます。その際、子どもたちは自分の指をはらぺこあおむしと見立てて、食べ物の真ん中に空いた穴のしかけに指を通せることができるという、絵を見るだけでなく身体を動かしながらストーリーを理解していきながら本を読み進めることができるところが子どもたちの好奇心を動かし、愛される秘訣です。


2つ目は数や曜日を楽しく覚えられることです。はらぺこあおむしは日曜日の朝に生まれてから、月曜日にりんごを1つ食べて、火曜日に梨を2つ食べてと、成長していきます。絵本で身体を動かしながら、曜日や数について声に出しながら読み聞かせる側が教えてあげることで、自然と子ども達の頭に情報が入っていきます。


3つ目は食べ物の種類。お話には果物だけでなく、アイスやケーキ、ピクルスやサラミなど様々な食べ物が出てきます。幼い子の場合、まだ食べたことがない食べ物も沢山あります。その中で絵本を通して食べ物を知ることで、好き嫌いや食わず嫌いがある子どもでも、食べ物に興味を持つようになり、子ども達の食育にも繋がります。


子どもたちが食べ物や栄養について楽しみながら学ぶことで、健全な食生活への意識が高まり、将来的な健康リスクを低減することが期待されます。また、絵本を読む時間は家族の絆を深め、子どもたちの精神的な安定や幸福感にも寄与します。持続可能な社会において、健康と福祉の向上は重要な要素です。


 



以上3冊の絵本をご紹介いたしました。


子どもの頃は当たり前のように持っていた「素朴な疑問」や「好奇心」から生まれる行動。

「やってみたい」という気持ち。大人になった今、どのくらい持っていますか?


沢山の情報や人に囲まれながら社会の中で必死に頑張っていると、自分にとって本当に大切な「モノ」を忘れかけてしまいませんか?


努力が形になった時や何かを得られた時は嬉しい気持ちになれますが、もちろん壁にぶつかることも沢山あります。そんな時に幼い頃に読んでいた本を見返してみてください。幼い頃に溢れていたキラキラ・ワクワクしたどこか懐かしい気持ちを思い出せるかもしれません。私たちの中にある子どもの心は、いつまでも私たちの中に大切に居続けています。




平原 依文(ひらはら・いぶん)

SMO 広報・PR / サステナビリティコンサルタント

HI合同会社 代表 / 青年版ダボス会議 One Young World 日本代表


小学2年生から単身で中国、カナダ、メキシコ、スペインに留学。早稲田大学国際教養学部卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンで、デジタルマーケティングを担当。その後、多企業で広報とブランドコンサルティングを推進。2022年には自身の夢である「社会の境界線を溶かす」を実現するために、HI合同会社を設立。SDGs教育を軸に、国内外の企業や、個人に対して、一人ひとりが自分の軸を通じて輝ける、持続可能な社会のあり方やビジネスモデルを追求する。Forbes JAPAN 2021年度「今年の顔 100人」に選出。


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