皆さん、こんにちは!SMO広報兼サステナビリティコンサルタントの平原です。まだまだ暑い日は続きますが、暦の上ではもう秋ですね。
今年はようやく、コロナ以前のような対面イベントやマスク無しの風景が戻ってきた夏でしたが、コロナをきっかけに変わったことも、各自おありではないかと思います。
私はパンデミックの最中は韓国ドラマにどっぷりハマってしまい、ひたすらネットフリックスで韓国映画・ドラマ三昧しておりました。近年のK-POP人気に加えて、世界を意識した韓国のコンテンツ制作力の影響もあり、韓流ブームの火付け役『冬のソナタ』を超える勢いで成長し続ける韓国ドラマ。今回のコラムでは、その中でも大人気ドラマ『愛の不時着』を、マイパーパスである「社会の境界線」という視点で、韓国、そして韓国だけでない日本や世界での社会課題を紐解いていきます。
世界中が涙した『愛の不時着』が投げかける社会へのメッセージ
主演の二人(ソン・イェジン、ヒョンビン)がプライベートでは共演を通じて結婚という形で「無事着」をしたドラマ、『愛の不時着』。そんなエピソードも韓国ドラマ好きの方にはたまらないこの作品では、パラグライダー中に予想外の事故に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢と、彼女を発見した北朝鮮の将校の間に芽生えたロマンスが描かれています。皆さんもご存知の通り韓国と北朝鮮は歴史的な背景もあり、昔から「軍事境界線」が存在します。隣接する国々でありながら、この境界線を一歩越えただけで二極化された文化と生活の中で暮らす人々がいます。
二極化された人々の暮らしから見る「真の豊かさ」
『愛の不時着』の見どころの一つは、北朝鮮を舞台にした前半部分です。主人公のジョンヒョクが暮らす北朝鮮では、テクノロジー国家として発展する韓国とは相反して、人々は「原始時代」のような長閑な村の生活を過ごしています。食材は冷蔵庫ではなく、地下にある冷暗所で保存され、ガスコンロではなく、炭でおこした火で調理をする。停電は日常茶飯事で、室内で自転車を漕ぎ自家発電をしながらテレビを見て、蝋燭の灯りで夜を過ごします。
私たちが暮らす日本でも韓国同様に、人々の効率性と便利を追及した結果、技術やテクノロジーが発展し、経済効果にも繋がりました。しかし、新型コロナウィルスで行動が制限され生活がガラッと変わったことによって、便利性や効率性以上に「大切なモノ・コト・ヒト」が見えてきたのではないでしょうか? それぞれ自分たちの身近なところでできることはたくさんあると思います。二極化された暮らしぶりをドラマが浮き彫りにし、コロナ禍で真の豊かさを見つめなおすことをより実感したような気がします。
境界線がない社会を目指して
脱北者に綿密な取材を重ねただけでなく、平壌演劇映画大学で学び、最高指導者の身辺警護などに当たる護衛司令部での勤務経験を持つ脱北者の作家が脚本の執筆に参加したことで、ドラマのリアリティが増している本作品。政治的な問題につなげないように、作品の中では核開発や人権抑圧などを連想させる描写は避けていました。しかし、本作品のメインテーマである「国境を越えたラブストーリー」からは、韓国と北朝鮮との行き来が命がけであることを再認識させられます。もともと同じ国、同じ言語を話しているにも関わらず、政治的要因で分断されてしまった悲しい歴史。家族であっても離れ離れになってしまった過去があります。このような問題は韓国や北朝鮮に留まったことではありません。
私自身のパーパスは「社会の境界線を溶かす」ことです。この夢に向かって日々活動をし、これが叶ってこそのサブテナブルが世界だと信じています。そこで当然出てくる疑問が、“大切な人と一緒にいたい” “ 自由な暮らしがしたい”ーそんなシンプルな想い(人権)が叶わないほど複雑な事情があるというのが、果たして健全な社会なのか?ということです。
世間に対してもこのような疑問に一石を投じた作品です。ぜひ、お時間がある時にご覧になってみてください。そして、身近なところから、何ができるかを、考え、行動に移すきっかけになれば幸いです。
平原 依文(ひらはら・いぶん)
SMO 広報・PR / サステナビリティコンサルタント
HI合同会社 代表 / 青年版ダボス会議 One Young World 日本代表
小学2年生から単身で中国、カナダ、メキシコ、スペインに留学。早稲田大学国際教養学部卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンで、デジタルマーケティングを担当。その後、多企業で広報とブランドコンサルティングを推進。2022年には自身の夢である「社会の境界線を溶かす」を実現するために、HI合同会社を設立。SDGs教育を軸に、国内外の企業や、個人に対して、一人ひとりが自分の軸を通じて輝ける、持続可能な社会のあり方やビジネス
モデルを追求する。Forbes JAPAN 2021年度「今年の顔 100人」に選出。
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