「リーダーがパーパスに関心がなかった場合、あなたなら何と言いますか?」これは、2023年6月にアスペン・インスティテュートが開催したラウンドテーブルのセッションで、ラルフ・ローレンと、プルデンシャル・ファイナンシャル、そしてダノンのリーダーに投げかけられた質問だ。
future-proofing your business
ラルフ・ローレンのパトリス・ルーヴェCEOの答えはシンプルだ。
「future-proofing(将来に備えてリスクを最小化し、会社が長期間にわたり成功し続けることができるようにすること)に関わることですから、もし会社の長期的な成功に興味がないのであれば、パーパスに使う時間が無駄なだけです。」
彼は、パーパスが以下のような点で、ビジネスをfuture-proofing、つまり将来性を確固たるものにすると説明した。
優秀な人材を採用する
消費者を惹きつける
投資家を惹きつける
一緒に働きたいと思ってもらえるパートナーを獲得する
地域社会と関わりを持ち、地域社会から支持される
このように、パーパスは企業の長期的成功に不可欠である。
パーパスを軸にして危機を乗り切る
150年近い歴史を持つプルデンシャル・ファイナンシャルの取締役ロバート・ファルゾンは、パーパスが財務的に成功をもたらすだけでなく、財務面で回復力も高めると述べている。ファルゾンは、プルデンシャルが数々の地域紛争、金融恐慌、そして2度のパンデミックを乗り越えてきたのは、パーパスに支えられていたからだとしている。
パーパスとパフォーマンスを一体として捉える
アメリカダノンのCEOであるシェーン・グラントは、上記の2人のリーダーに賛同し、こう言った。「パーパスとは、その時々の問題のことではありません。持続可能なビジネスモデルについてのことなのです」。
さらに彼は、パーパスはビジネス・パフォーマンスと深く結びついていると付け加える。 一例として、彼はダノンの製品のうち、パーパス主導製品のポートフォリオを挙げる。ダノンのパーパスは、「食品を通じてできるだけ多くの人々に健康をもたらすこと」である。それは、以下の2つの要素からなるものだ。
食を通じた健康
できるだけ多くの人に
ダノンは、ポートフォリオを評価する際、健康という面からを測定している。2つ目の(できるだけ多くの人に)という要素については、事業の成長、競争力、消費者へのリーチで測定している。グラント氏は、パーパスと業績を別々に捉えるのではなく、パーパスを事業と業績に組み込むことができると主張している。
まとめ
これらの業界リーダーが一致して強調しているのは、持続可能な成長、回復力、そして長期的なビジネスの成功には、パーパスが必要不可欠であるということだ。リーダーがパーパスを信じていない場合、自社の将来を危険に晒すことになる。パーパスを戦略に組み込むことは再前提であり、そのうえで最も重要なのは、パーパスをビジネス戦略に「どのように」効果的に統合させるかということなのだ。