今回は、パーパスステートメント(または企業により、ミッションステートメント)が改訂されたケースの、旧・新での違いを見てみよう。アイコン的なグローバル企業の例をご紹介する。
Starbucks
旧ステートメント:
Establish Starbucks as the premier purveyor of the finest coffee in the world while maintaining our uncompromising principles as we grow.
当社の原則を一貫して守りつつ事業を拡大し、世界の最高級コーヒーの加工から小売まで一貫して扱う一流コーヒー専門会社としてのスターバックスを築いていく。
新ステートメント:
To inspire and nurture the human spirit – one person, one cup, and one neighborhood at a time.
人々の心を豊かで活力あるものにするために一 ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから
Patagonia
旧ステートメント:
Build the best product, cause no unnecessary harm, use business to inspire and implement solutions to the environmental crisis.
最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。
新ステートメント:
We’re in business to save our home planet.
地球を救うためにビジネスを営む。
Microsoft
旧ステートメント:
To put a computer on every desk and in every home.
すべてのデスクとすべての家庭に1台のコンピューターを。
新ステートメント:
To empower every individual and every organization on the planet to achieve more.
地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする。
Unilever
旧ステートメント:
To meet the everyday needs of people everywhere.
世界中の人々の日々のニーズに応えること。
新ステートメント:
To make sustainable living commonplace.
サステナブルな暮らしを“あたりまえ”にする。
Uber
旧ステートメント:
Make transportation as reliable as running water, everywhere, for everyone.
蛇口をひねれば水が出るように、誰でも、どこからでも使えて、信頼のおける交通手段になる。
新ステートメント:
To help people go anywhere and get anything and earn their way. Movement is what we power.
ムーブメントは私たちの力。欲しいものを得る。行きたい場所へ行く。好きなように稼ぐ。人々にその手伝いをする。
Sony
旧ステートメント:
To be a company that provides customers with kando – to move them emotionally – and inspires and fulfills their curiosity.
ユーザーの皆様に感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続ける。
新ステートメント:
Fill the world with emotion, through the power of creativity and technology.
クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。
MUFG
旧ステートメント:
To be a foundation of strength, committed to meeting the needs of our customers, serving society, and fostering shared and sustainable growth for a better world.
いかなる時代にあっても決して揺らぐことなく、常に世界から信頼される存在であること。時代の潮流をとらえ、真摯にお客さまと向き合い、その期待を超えるクオリティで応え続けること。長期的な視点で、お客さまと末永い関係を築き、共に持続的な成長を実現すること。そして、日本と世界の健全な発展を支える責任を胸に、社会の確かな礎となること。
新ステートメント:
Committed to empowering a brighter future.
世界が進むチカラになる。
これらについて何が考察できるかを見ていこう。
自分中心のステートメントは古い
スターバックス、ソニー、MUFGの古いステートメントは、自社を中心としたもので、会社の理想的な状態を追求することに焦点が当てられていた。しかし、それぞれ新しいステートメントでは、このようなパターンが一掃された。
製品中心も時代遅れ
パタゴニア、マイクロソフト、ウーバーの古いステートメントは、製品中心だった。パタゴニアは、"最高の製品 "を作り、マイクロソフトは "コンピュータを置く "、Uberは "輸送 "をテーマにしていた。これらの企業の新しいステートメントを見ると、すでに製品の時代は終わっている。
人を中心にしたベネフィットへの転換
最新のステートメントは、主に2種類に分けられる。1つ目は、製品を超えて、(顧客にとって何ができるのか)ベネフィットに焦点を当てようというもの。マイクロソフトは、人々がより多くのことを達成できるように支援し、Uberは、人々が物理的かつ経済的に様々な場所に行けるように支援する。ソニーは、私たちを感動で満たしてくれる。
世界をより良い場所にする
2つ目の種類は、私たちの世界や未来をより良くすることに焦点を当てている。パタゴニア、ユニリーバ、MUFGがこちらのタイプとなる。
インスピレーションを与える
一般的に、新ステートメントでは、より高い志へシフトしている。そこから見られるのは、
人間: person、individual、peopleという言葉が焦点になっているもの。
私たち人類が大切にしているもの。例えば、私たちの心や近隣コミュニティ(スターバックス)、私たちの地球(パタゴニア)、私たちの生き方(ユニリーバ)、私たちの行き先(ウーバー)など。
こうした側面は、人間である私たちとの親和性を高め、さらには感情やインスピレーションを呼び起こす。
シンプルになっている
最後に、一般的に、新ステートメントでは、短くシンプルになっている。これは、現在の騒々しく情報過多な世の中の状況を反映しているのではないだろうか。
ここから何かを見いだせただろうか。パーパスステートメントの例についてさらに詳しくは、SMOサイトのResources内「パーパスステートメントリスト」にて。
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