Best Buy 元CEOであるユベール・ジョリーは、著書 『Heart of Business』の中で、"企業の核を形づけるものは、パーパスと人脈である”と述べている。この本の中で彼は、企業のパーパスと従業員のパーパスを結びつけることが重要であると説明する。
今回は、組織経営におけるパーパスについて、この本からの学びを紹介したい。
この本では、Best Buyのリーダー層が、お互いのストーリーやアイデンティティを理解し合い、それが組織のパーパスとどのようにつながるかを深堀していく様子に、重要な学びがある。
ジョリーは、従業員に「あなたのパーパスは何ですか?」と質問をしなかった。代わりに、「あなたを駆り立てるもの、突き動かすものは何ですか?(What drives you?)」と、もっと自分ごと化しやすい身近な形で質問を投げかける。
リーダーやマネジャーが集まる際には、この質問についての考えを皆で議論するそうだ。自分を突き動かし、駆り立てるものは家族と過ごす時間を増やすことだと答える者もいれば、従業員や顧客の夢をかなえる手助けをすることだと答える者もいる。
経営という点から考えた際に、ここに重要な発見がある。「何があなたを駆り立てるのか、突き動かすのか」という問いは、組織におけるパーパスとしての重要な役割を示してくれる。従業員にとって、パーパスはモチベーションの源であり、原動力だ。そのために私たちは朝起きて仕事に行くのだから。
何が従業員を突き動かしているのかを特定し、理解すること。これこそが、従業員のマイパーパスと組織のパーパスを結びつけようとする組織にとって重要なのである。