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執筆者の写真smo inc

SMO Forecast /進化するディスカウントストアの魅力


SMO岩田です。今回は、ディスカウント&オフプライスの市場の新たなニーズと進化について紹介します。


 

ディスカウントの成長と消費者のニーズ


ディスカウントやオフプライスの店舗は、もはや単なる節約の場ではなく、魅力的なショッピングデスティネーションへと進化しています。2023年のデータによれば、米国のオフプライス・アパレルストアへの来店者数は、他のアパレルセグメントを上回り、特にZ世代の消費者がディスカウントストアを頻繁に訪れています。この背景には、手頃な価格で高品質な商品を提供する店舗が消費者に支持されていることがあり、これによりディスカウント市場は急成長を遂げています。

Z世代においては、流行を追いながらも節約志向が高まっており、ディスカウント・オフプライス部門は新たな価値を提供する場として重要性を増しています。特に2023年には、米国のZ世代の48%がTJマックスやマーシャルズといったオフプライスストアで最も頻繁に買い物をしていることが確認されており、これはこの世代がいかにディスカウント市場に魅力を感じているかを示しています。



英国と米国におけるディスカウント市場の状況


2024年1月、英国では消費者のディスカウントストアでの支出が前年同月比で41%増加しました。これは、家計の支出が厳しくなる中で、多くの人々がディスカウントストアを頼りにしている現状を表しています。また、米国では、アルディや食料品アウトレット・バーゲン・マーケットへの来店客数が前年同期比で大幅に増加しており、手頃な価格の商品を提供するディスカウントチェーンの需要が高まっています。

一方、ノードストロームのオフプライス店である「ノードストローム・ラック」は、2023年第4四半期に14.6%の売上増を記録し、フルプライスの店舗が苦戦する中で、オフプライス市場の成長を象徴する結果となっています。

photo credit :AdAge


企業の新たな戦略と在庫管理


企業は、過剰在庫やサプライチェーンの課題に対応し、消費者に新鮮な商品を提供し続ける必要があります。オフプライスリテールの成功事例として、TJマックスの「宝探し感覚」を取り入れた買い物体験や、グレッグス・アウトレットでの「昨日売れ残った商品を安く提供する」透明性ある販売手法が挙げられます。

また、食料品分野でも、過剰生産について消費者に率直に伝え、割引販売を「食品廃棄物削減の一環」として位置づける取り組みが見られます。これにより、消費者は環境に配慮しつつ、お得な商品を手に入れることができるため、特に若い世代に響く戦略です。



ESGと持続可能なビジネスモデル


近年、環境、社会、ガバナンス(ESG)に配慮したビジネスモデルの重要性が増しています。リテーラーは、持続可能性を強調しながら、収益を確保する新たな手法を模索しています。たとえば、ニューバランスは下取りプログラムを拡大し、古くなったシューズを再利用するサステナブルな取り組みを進めています。

また、セインズベリーはパッケージの簡素化により年間約700トンのプラスチックを削減するなど、消費者の意識の高まりに対応した取り組みを進めています。こうした持続可能なビジネスモデルは、消費者の信頼を得るだけでなく、ブランドの競争力を高める要素となっています。



体験型ショッピングの重要性


ディスカウント市場では、買い物を単なる商品購入ではなく、体験として提供することが求められています。たとえば、天津の「フロレンティア・ビレッジ」は、イタリアの町並みを再現したアウトレットモールで、ショッピングとリラクゼーションを融合した体験を提供しています。米国でもNetflixがショッピングモールに体験型エンターテインメント施設をオープンするなど、買い物を超えた価値が求められています。

photo credit :Netflix




Z世代へのアピールと今後の展望


Z世代の消費者は、ディスカウント商品への強い関心を持ちつつも、トレンドや倫理的な価値観にも敏感です。ブランドは、この世代にアピールするために、ソーシャルメディアでのトレンドを反映させた在庫管理や、節約志向と同時におしゃれを楽しめる商品展開を行っています。TJマックスが色分けしたタグで店内の買い物を「宝探し」化しているのも、若年層の関心を引きつける工夫です。

photo credit :DailyMail


日本では、ディスカウントストアの代表格として知られるドンキホーテが特に好調です。低価格でバラエティ豊富な商品を提供し、消費者の“お得感”を満たすだけでなく、独特の店内レイアウトや24時間営業などで、"宝探し"のような買い物体験を提供。地道な戦略が功を奏し、インフレや経済不安の中でも、若年層や外国人観光客にも特に人気で、近年の躍進が顕著です。最近では、世界的なアーティストであるブルーノ・マーズをCMに起用し、さらなる話題を呼び、ブランドの知名度向上にも成功しています。

 


 

ディスカウント市場は、今後も成長を続け、消費者のニーズに応える多様な戦略が展開されるでしょう。企業は、価格競争だけでなく、体験型ショッピングやサステナビリティを通じて、消費者との新しいつながりを築くことが求められています。

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