月1のForecast 連載では、消費者にまつわるトレンドフォーキャストから、未来の兆しになるようなトピックスをピックアップしてご紹介していきます。
こんにちは。SMO榎並です。
先日SNSで、とあるハンバーガーショップの周年パーティーの「食べ過ぎを気にするほど人生は長くない!」という食べ放題プランの投稿が目に飛び込んできました。「確かに。食べたいもの食べた方がいいよね!」と思ったのは実は一瞬、その日のランチはチーズたっぷりパストラミサンドではく、翌日の吹き出物やあれこれ気にしてアボカドやトマト、野菜がぎゅっと詰まったサンドイッチをUber Eatsしていました。
さて、今回は、完璧に健康的な食事を取らなければならない、持続可能な食生活をしなければならない、ファストフードを避けなければならないという現実的なプレッシャーが「say eat gap(言うことと食べることのギャップ)」と呼ばれるものを生み出しているというトレンドをピックアップします。
「say eat gap」とは、消費者の何を食べるべきかという信念と、実際の食生活の間のギャップのことを指します。米国の調査によると、Z世代のティーンエイジャーとヤングアダルトの約62%が自分の食生活は間違っている、他の世代よりも食によって罪悪感、不安、不快感、ストレスを感じると答える傾向が強いとのこと。この「say eat gap」を埋めることは、消費者がより価値観に沿った食の選択をすることをサポートし、植物性食品市場の活性化、サステナビリティのニーズなど、食品業界の主要課題に対して価値ある解決策をブランドが見直すきっかけになりそうです。
そんな「say eat gap」を埋めるようなキーアイディアと取組事例を2つご紹介します。
食を喜びの体験として讃える
・気分を高揚させる食の体験と肯定的なブランド交流によって、消費者の食に対する肯定的な関係を強調する。食を愛する人々が一体となるように、気持ちの良い食体験やマーケティング・モーメントを提供することで食に対する罪悪感を払拭する。
・ニッチな食のコミュニティ、サバークラブ、食通を集めるユニークな食のイベントを開催しシェフと食通の双方が共有する価値観としての喜びを強調する。
・ただ、嗜好品であっても成分表はクリーンに嘘なく記載し消費者の食事制限に配慮することは忘れずに。
「健康ではないFFUPS」の事例
“ヘルシーではない”チーズパフブランドFFUPSは、健康を気にするならキャロットを食べて!とWEBサイトでも謳っており、本商品は健康上のマイナス面を正直に述べながらも適度な量であれば食べる喜び、満腹感、快適さを与えてくれることを強調している。
Photo Credit:https://www.thequalityedit.com/articles/ffups-review
プラントベースからプラントフォワードへのブランド再構築
・より多くの植物を食べることは、食生活全体、お財布事情、嗜好を犠牲にすることではない。
・野菜をメインと考え、便利で美味しく、手頃な価格で、置換え肉なしを簡単に実現する。長くてわかりにくいラベルや複雑な肉の代替品ではなく、より多くの植物性を食べることを強調する。ミートレスという概念ではなく美味しいプラントフォワードとしてブランド化する取組もポイントである。
ウォルマートの新ブランド事例
ウォルマートは2024年5月に新しいプラントベースブランドbetter goodsを発表。手頃な価格帯で植物性食品を中心に展開し、価格に敏感なユーザーからの支持に加えて、これまでウォルマートを利用しなかった富裕層からも注目を浴びているという。
Photo Credit:Walmart official website
食事の選択は、自分の価値観を反映させることであるため、自分が何者であるかということと深く結びついているといいます。しかし、調査によると食品を購入する際の消費者の信念と行動とのギャップは拡大しつつあるそうです。
消費の二極化、も昨今よく聞かれる言葉ですが、例えばZ世代にとって倫理とサステナビリティは重要だが、同時に経済的安定も大切なため、持続可能な工程でつくられたファッションを好む一方、実際は安価なファストファッションにお金を投じてしまう、などというジレンマも発生しています。
ブランドは敏感な消費者心理を理解し、ギャップを埋めていくことがブランド成功には重要という結びになりますが、このギャップは果たして埋まることはあるのか?とブログを書き終え、おやつはチョコチップクッキーに手を伸ばすか、グレープフルーツをカットするかに悩んでいます。万年ダイエッターの私にこの複雑なジレンマはなかなか解消されそうにありません。
猛暑日の記録も日々更新されているようですので、兎に角しっかり食べて備えていきたいですね。
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