• smo inc

一人の若手社員の熱い想いから世界中の社員をパーパスで繋ぐ。老舗住友ゴムの新しい挑戦。

更新日:9月27日

2020年にパーパスを策定し、そのパーパスを軸としたOur Philosophyを制定、理念主導型企業として活動している住友ゴム。経営企面部の向井さんは、数年前にパーパスという概念を知って、会社をまとめていくのはこれだ!とひらめき、上司を説得してパーパスを策定するに至ったパワフルな若手リーダーです。現在はパーパスの浸透段階に入り、その一連を手がけている向井さんに、策定から浸透、そしてこれからを伺いました。


(インタビュー:SMO 宮内春子)

 





宮内:SMOが入る前から、すでにパーパス策定のプロジェクトを進められていましたが、我々が表現開発からお手伝いすることになりました。パーパスを作る過程で印象的なことはありましたか?


向井さん:Vision2030を作ろうという話でスタートしたプロジェクトだったのですが、

思案する中で、企業理念体系を改めて再編・整理しようとなりました。わたしたちが作った素案に対して社員の方に色々とヒアリングしたのですが、その時に辛辣と言うかストレートな意見を多く頂いて、みんなの納得いくもの、満足いくものを作るのは本当に難しいなと感じました。


宮内:理念を分かりやすくするということ以外にも、解決したい課題があったのでしょうか?


向井さん:組織風士の課題が深いということが社員アンケートやヒアリングで見えてきていました。そこで人事出身の私がこの策定の件で経営企画部に呼ばれたのです。急速なグローバル化で人が急増し、みんなのベクトルがバラバラになってしまっていると感じ、解決策を色々調べていたらパーパスという存在、概念があると知りました。今うちの会社に足りないのはこういうみんなを引きつけるような求心力だと思って、見つけた時にすごく希望にあふれた概念だと思いました。これがきちっと浸透したらみんなのベクトルも揃うし、もっと強く、いい会社になれるんじゃないかなと。なので、組織面や人の面での課題というのが1つですね。あとは、当時の企業理念、SRI WAY、ビジョンがバラバラで、筋が通ってない感じがしました。パーパスを基準に、「だからこのビジョン、WAYなんですよ」と落とし込んで伝えられたら、社員の方にも会社の目指すところに共感していただけて、ベクトルも揃っていくかなと期待感が持てました。


宮内:その後SMOが入って、一緒にパーパスを作らせていただきました。今は浸透フェーズに入っていますが、やはり作って終わりではないことろが大変なわけで...、ここまでやってみて如何ですか?


向井さん:パーパスを打ち出した時に、前向きな声もいただけましたし、海外支社からもそうした反応が返ってきてすごく嬉しいです。すごく感度が高いと思ったのは、ブラジルで、一番早くにフィロソフィーブックのポルトガル語版を作って、グッズも作ったりと、お祭りみたいな感じで盛り上げてくれています。日本国内では、全社員対象にワークショップを実施し、管理職は手応えがあって、満足度も高かったようです。マネジメント側からすると、やはり何か一個、軸になるものがあるとすごくやりやすいのかなと感じました。一方で、経営層でない社員の方々からは、正直まだ良くわからないという声も頂いていて。

Our Philosophyやパーパスについては、意図的に言葉の意味に幅を持たせているので、各部、各自への落とし込みが十分にできてない課題もあります。事務局内で色々話し、浸透度合いのアンケートも取って、なぜOur Philosophyを作ったのか、どうして重要なのかっていう策定の背景やコンセプトは、これからも丁寧に対話していく必要があるんだなと思いました。皆さんの自主的な活動を支援できるような取り組みをもっとやっていかないといけないなと思っています。


宮内:役員ワークショップは良かったですね。上の人が理解、リードして初めて、部署や現場の方達も盛り上がってくる。1年目はコロナもありオンラインを駆使したワークショップでしたが、いかがだったでしょうか?


向井さん:事務局では、オンラインだからこそ、これだけのスピード感を持って全社員にワークショップを実施できたよねと話していました。前の働き方だったら、この部屋にみんなを集めてとかを何度もやって、1年間くらいやっていたんじゃないかなって。


宮内:それにしてもあのスピード感はすごかったですね。数ヶ月で何千人も巻き込んで、もう終わりました!って聞いた時はびっくりしました。


向井さん:3ヶ月で2000名くらいはやりました。研修チームも事務局に入ってくれて、普段の研修からのノウハウもいっぱいあったからかなと思います。あとオンラインで良かったのは、いろんな拠点の人が一緒に集まれたことですね。「他部署の人とこういう風に話す機会があまりないので新鮮でした。」とか、「視野が広がった、新しい視点をもらえた」。という感想が多くて、コロナでコミュニケーションが減っているというのもあって、他の部署の人と話すニーズがあるのかなと思います。


宮内:ほか海外拠点での浸透はどうですか?


向井さん:ロシアは今度ワークショップを開く予定で、アメリカや各拠点からも説明してほしいというリクエストが来ています。理念をきっかけにグローバルの人で集まるとか、それに基づいたイベントもやっていけると、もっとみんなのベクトルも揃っていって対話のきっかけになるのかなって。


宮内:オンラインだからこそ、面白いことができそうですよね。さて、最初に伺った解決したい課題について、進み具合はいかがですか?


向井さん:今Be The Changeプロジェクトといって、組織体質をよくする活動に注力しているのもあり、割と会社の雰囲気は変わってきているかなと思います。360度フィードバックやエクゼクティブコーチングを取り入れたこともあり、上司の方のコミュニケーションの仕方が良くなって、みんなが気持ちよく働けるような環境を作らなくちゃ、という意識で接してくださって、頭ごなしに否定から入らず、どうやったら出来るかを前向きに、一緒に考えてくれるように変わってきたなと。ただ、部署や拠点によってもばらつきがあって、あまり変化を感じられないという声もあります。これだけ大きい会社なので、そこをもっと広げていきたい、変えていきたいと思っています。


宮内:来年に向けて、特にやってみたいこと、施策はなんですか?


向井さん:各部署や各個人のフィロソフィーやパーパスの自分ごと化をSMOさんにもお手伝いいただきながら進めていきたいなと思っています。ワークショップのアンケートでも、企業理念Our Philosophy体現のために何をしたら良いのか分からないとか、自分の仕事との結びつきがわからない、という声もあって、会社が大きい中で、あのパーパスだけで自分の仕事と直接結びつけるというのは割と難しいようです。そこをもっと各部や各個人のパーパスへ落とし込んでリンクさせていけたら、もっと繋がりや求心力を持てるかなと。





宮内:理念を中心に据えて企業の経営活動をすることで、結果としてSRIという企業のブランド価値を高めるということ、それを私たちはパーパス・ブランディングと呼んでいるのですが、御社はダンロップ、スリクソン、ファルケンという商品ブランドもある中で、向井さんの考える「強いブランド」って何だと思いますか?


向井さん:共感できるコンセプトやパーパスがあって、それをきちんと行動に落とし込んで実践しているブランドが強いかなと。私はマザーハウスというブランドが好きなのですが、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念がきちんとあって、創業者の方のどういう想いからそれが生まれたのかというストーリーにも共感できる。理念と実際の行動が一致しているので信頼できるなと。ブランドのパーパスに則って現地の職人さんや技術を最大限活かして商品を作っていて。そして、お店の人も皆さん熱を持って接客してくださって、社員ひとりひとりにもきちんと浸透している。私も応援したくなって、周りにも勧めたり。


宮内:ブランドとしては一番持ちたいファン顧客ですよね。やっぱり共感は重要ですよね。そして行動が一貫しているかどうか。そういうものが必要な中で、住友ゴムが消費者から求められるものは変わってきていますか?


向井さん:当社に求められるものはあまり変わってないのかなと。それはもともと住友っていうブランドの精神がベースにあって、それが普遍的なものとして存在しているので、つねに当社の資産であり強みである、「安心、信頼」が求められているのかなと思います。


宮内:御社はゴムを扱っていることもあり、サステナビリティが強く求められているなかで、取引先を含め環境に対する取り組みをしているか、行動もきちんと伴っているかなどブランドに対する信頼へのハードルが高くなってきていませんか?


向井さん:それはありますね。車を作っているOEメーカーさんに同じことを求められているので、サプライヤーである私たちにも高い水準を求められているなぁというのは思います。サステナビリティはこれからより意識していかないとならないと思っています。


宮内:その他、ゴム業界的に顕著に変わっていることなどありますか?


向井さん:サステナビリティ以外では、車業界自体が100年に一度の変革期と言われていて、デジタル化も進んでいるので、変化への対応を求められるかなと。EV車で求められるタイヤも変わってきている中で、車の新興メーカーも台頭してきていて、メーカーの方と話すと、こういうタイヤを作って欲しいと言うレベルが高くなっていて、その期待に答えられるようなタイヤづくりをしていかないとならないなと。


宮内:最近パーパスを導入する企業が増えていますが、企業の担当の方にアドバイスするとしたら、制定、浸透それぞれのポイントで伝えたいことなどはありますか?


向井さん:会社の規模にもよると思うのですが、大きい会社の経営層は上の年代の方が多くて、そういう方にとってパーパスってなかなか理解や共感がしづらい概念なのかなと感じていて。今回のプロジェクトは多分若い私が言ったから、皆さん、若い人が言うなら・・・という感じで導入に共感していただけたのかなと思っていて。これからの若手世代がリードしていくのが良いのかなって思います。


宮内:若い人の言うことは「ほんとにそれでいいの?」と受け付けてくれない会社もある中で、経営企画部の上の方の理解があったから実現したと思うのですが、向井さんの素晴らしい行動力をもってしても、最初は断られたりしましたか?


向井さん:まず経営企画部の上司を説得しないといけなくて、最初は「パーパスって何??パンパース??」って感じで、理解してもらえなかったですね(笑)。でも私が本気だったから、こいつ真剣だなみたいな感じで。最近も言われたんですけど、「あの時のお前の目は忘れられない、本気で怒ってた。」って(笑)。私もこれ絶対やんなきゃ駄目だって信念に駆られていて、そしたらみんなが共感して、協力して進んでいけた。最後は想いや信念が大事かなと思います。


宮内:ボトムアップでやっていこうという方には響くメッセージだと思います。浸透に関してのポイントはなんでしょうか?


向井さん:今回は時間も限られていたこともあり、一部の方にヒアリングして意見を吸い上げた、という感じなのですが、もっと「全社で企業理念を新しく作ります」というように打ち出していたら、その後の浸透フェーズも、よりスッと皆さんの中に入っていけたのかなと思います。浸透に関しても、背景や想いが一番大事だと思っています。フィロソフィーを作った理由やパーパスを制定した理由が、伝わる人には伝わっているけど、伝わりきってないので、WHYの部分をもっと丁寧に伝えていかないといけないなと思っています。どんどん共感してくれる人を増やしていってフィロソフィーのファンを増やさないと!と思います。

宮内:今後は社外の人にも伝えていきたいですね。社外への浸透でやってみたいことはありますか?


向井さん:社外の人にも共感してほしいと思いつつも、まずそれを社内に浸透させて、社員一人一人が理解できると、仕事にも反映されてくると思うんですよね。店舗スタッフの対応の仕方、商品の売り方、そこでお客さまや外の方にも感じてもらえるのかなと思うので。中をしっかりと浸透させて、外もやっていけたら良いなと思います。


宮内:最後に、SMOのパーパスは「本物を未来に伝えていく」なのですが、住友ゴムの、そして向井さんの、未来に伝えたい「本物」とはなんでしょうか?


向井さん:住友ゴムが提供している「最高の安心とヨロコビ」をちゃんと未来に残したいです。また個人的には、本物の経験を一人一人が出来るような会社にしたいと思っています。

自分の人生がより充実するような経験や、何か自己実現や自信に繋がるような経験が会社で出来たらいいなと。さっき私が「信念が大事」って言ったんですが、やっぱり生まれたからには何か信念を持って、仕事で実現できたら人生楽しいんじゃないかなって。私たち一人一人のパーパスと住友ゴムのパーパスが重なって、もっとみんなが楽しく仕事を出来る会社にしたいと思っています。


 


向井奈都子(むかい・なつこ)

住友ゴム工業株式会社経営企画部


2016年住友ゴム工業入社。人事総務部に

配属され人事業務(異動・考課等)に携わる。2019年に経営企画部に異動し、

企業理念体系を再編・整備するプロジェクトを担当。新しい企業理念体系「Our Philosophy 」の策定、Purposeの導入を提案、率先した。現在はOur Philosophy浸透活動の事務局および、Be the Changeプロジェクトを担当し、車内の組織風土活性化・変革に携わる。