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  • 執筆者の写真smo inc

東大ホッケー部 パーパス策定に要した1年間を振り返って

更新日:2023年2月17日


東大ホッケー部の新しい幹部に就任した、当時大学3年生の部員からSMOに連絡があったのは、2021年の秋。「部のパーパスを策定したいが、何をして良いかわからない」という相談をいただき、SMOのオフィスでお会いするところから始まりました。そこからは、学生主体でパーパス策定を進めることができるよう、SMOはアドバイザー的な立場で助言をしてきました。春の新入生歓迎会までには決まるはずが、結局代替わりまでの1年をまるまるかけてようやくパーパスが完成。


部にパーパスを遺す形で引退した、元部員幹部たちに、パーパス策定までの1年間道のりをお聞きしました。 



(インタビュー:SMO 宮内 春子)

 

​パーパス: 学生主導の頭脳ホッケーでジャイアントキリングを目指し、挑み続ける人間を育成する。

学生主導の部活を通して、部員は様々な人と関わり、主体的に考え・行動します。 そして、自らの頭脳を生かした東大らしいホッケーでジャイアントキリングの達成を目指します。 その過程で、いかなる難題にも挑戦し続ける力を養い、これからの世界をリードする人材を育成します。


SMO: パーパスの策定、そして、引退、おめでとうございます。

当初の想定よりかなり長くかかりましたね。まずはなぜパーパスを策定しようと思ったのか、そして完成までの道のりを、振り返りながらお聞きできればと思います。


東大ホッケー部元部員(以下、ホッケー部): パーパスを作成しようと思った理由はコロナ禍以降(その付近)でホッケー部の置かれてる環境が大きく変化してきたことがあります。


まず、内部での変化でいうと、部員の価値観が多様化してきました。部員それぞれの一番大事なものが部活、学業、研究、趣味など多岐に渡り、今までの部活第一という部員はここ数年で減っていきました。それが原因かは分かりませんが、チームとしての一体感も薄れたように感じていました。このような事情からパーパスを決めることで部の方向性を定めることを考えました。


外部の変化でいうと東京大学内の他部活が理念を設定し、それに基づくブランディングを始めていたことがあります。それによりホッケー部の魅力は相対的に低下し、新歓で見向きもされず、部員が減少してしまいました。

そのため、パーパスを設定することがブランディングにもなるのではないかと考えました。部内スポンサー班の3人を中心に、必要があれば部員全員から意見を集めるという形で進めました。部員全員でワークショップを3回行い、そこではパーパスの前提の確認や必要な要素の洗い出しなどを行いましたね。そのあとスポンサー班で話しあって形にするという流れです。パーパスに対する知識がゼロの状態で始まったので、ワークショップ、パーパス班の話し合い共に意見がまとまらず、そこはかなり苦労しました。そして形になったものをさらにSMOさんやOBさん、部員に共有し修正していくという風に進めました。

パーパス班での話し合いはかなりの数を重ね、その中で軽く10回はパーパス案を修正したと思います。言葉を1つ変えるだけで印象が大きく変わったり、周囲を納得させる言葉を探し出すのは苦労しましたが、じっくり言葉を考えるのは好きなので、楽しみながら作成出来ました。



SMO: 数回、出てきた案に、私たちがダメ出しをしたこともありましたよね。


ホッケー部: 色々とアドバイス頂きありがとうございます。何気なく使った言葉一つに対してもかなり深ぼってくださったため、作り終える頃には僕自身もかなり言葉に対して繊細な意識を持てるようになれたかなと思っています。


SMO: 言葉の要素で一貫して重要視した要素としては、「頭脳」「ジャイアントキリング」のあたりだったかなと思いますが、この辺のこだわりについてお聞かせください。


ホッケー部: まずは「頭脳」についてですが、やはり東大生としてそこは譲れないかなというところがありますね(笑)。まあ冗談っぽく言ってますが、かなり重要な要素かなと思います。後ほど説明する「ジャイアントキリング」に繋がる要素でもあるのですが、勉強で大学に入った僕たちが、ホッケー経験が長く基礎的な運動能力においても秀でている相手を倒すためには「頭脳」が不可欠です。逆に、「頭脳」を上手く使えば、部内の課題を特定し、短期間で最大限の成長が可能な練習を行うこと、相手に対して最も有効な攻撃、防御を行うために常に最適な戦術、フォーメーションで試合に臨むことで格上に勝利することが可能です。「頭脳」ばっかり言ってうるさかったですかね、すみません(笑)


SMO: いえ(笑)、そこはまさに「強みの要素」ですから。


ホッケー部: 次に「ジャイアントキリング」ですが、これは東大ホッケー部にとって最も重要な要素ですね。スポーツ推薦での部員獲得を行なっていないため、部員のほとんどが初心者からのスタートとなります。そんな未経験者集団が、高校や中学、中には小学校からホッケーをやっているようなプレイヤーばかりの関東リーグ一部校を倒す。そんなワクワクするストーリーに惹かれて新入生は入部します。東大ホッケー部は、2018年は一部校に30年ぶりの勝利を収め、その翌年の2019年にも一部校に勝利しています。2019年に入部した僕たち同期は勝利の瞬間を間近で見ているので、「ジャイアントキリング」に対する思いは強いと思います。

 

SMO: 策定のプロセスで、大変だったところは?


ホッケー部: 初めのワークショップではパーパスの方向性を決めるのがとても難しかったと記憶しています。グループごとに分かれて自由にパーパスを作成するという形でワークショップを進めたところ、最終的に各グループから出たパーパスは形も内容も全く異なっていました。そのため、議論を一旦振り出しに戻し、必要な要素を洗い出すことから始めました。かなり時間も労力もかかる作業だったのと同時に、部員それぞれが部に対して持っている思いを見ることが出来たので、その意味では印象的だったとも言えますね。


SMOの方々には最後のワークショップに入っていただいた形になりましたが、初回のアイデア出しのワークショップにも入っていただければ良かったと後から思いました。この当時は幹部自身もパーパスについて深く理解できていたわけではなかったので、自分達のやり方が正しかったのか確信を持てていませんでした。




SMO: ほかに、新発見だったこと、などもありましたか?


ホッケー部: 策定の後半で、新入生に対して意見を募った際、かなり多くの意見を新入生から貰えたことがありますね。それぞれが微妙に違った感覚を持っていて、見ていて楽しかったです。僕が1年生の頃はそこまで考えてなかったな、なんてことも思ったりしましたね。


SMO: 幹部だけで決めず、下級生も含む全部員で取り組んでいたのが良いなと思いました。今後3年間は、少なくとも策定に関わったメンバーが、このパーパスを軸に体現させていくわけですが、バトンを渡した立場として、後輩へのアドバイスや要望はありますでしょうか。

パーパス策定に関わった部員の皆さん

ホッケー部: まずは協力してくれてありがとうございます。納得のいくパーパスを作成出来たので、とても満足しています。みなさんが意見を出し合って作ったパーパスなので、大切にして欲しいというのが一番の思いですね。ただ、大切にするといっても方法は人それぞれで、頭脳ホッケー、ジャイアントキリングを毎日唱えて部活に取り組み、成長してくれるも良し、悩んだ時、辛い時などに、道しるべとして使ってくれても良しです。今回作成したパーパスはあくまでチーム全体としての目的、存在理由であって、チームメイトであるみなさんの思いはそれぞれ異なっているはずです。各々が、自分自身の中にあるパーパスを大切にして個性を磨き、部活に励む中で、その個性が東大ホッケー部の成長に寄与するための手助けとしてチームのパーパスが存在するのが理想かなと思います。


SMO: またこのパーパスが3年と言わずその先、みなさんがOGとなって社会人となって、組織内の偉い人になるくらいまで長く引き継がれていくと良いなと思うのですが、パーパスは策定よりもその先のほうが大変だと思っています。計画や覚悟はありそうでしょうか。


ホッケー部: 先ほどの質問への回答で申し上げた部分も多いですが、部員それぞれがパーパスをどのように捉えるかは人それぞれだと思うんですよね。ただ、チーム全体としてはパーパスを念頭に置いて動いて欲しい。そのあたりのバランスを保ちながらどのように浸透させていくかが大変かなと思います。定期的にミーティングを開いて意味を再確認していくだとか、そういった方法で地道に理解を深めていって欲しいですね。あとはOBさんや部外の方々にお話をする機会なんかが増えればそれも浸透するチャンスかなとは思いますね。


覚悟とは少し違うかもしれませんが、そうやって部内で理解を深めていく中でパーパスを変えていくこともアリだと思っています。部の存在意義は少しずつ変わっていくものですし、そもそも今回完成したパーパスも、何度も修正が加わっています。特にパーパス策定に関わっていない未来の新入生たちには、パーパスを部の大前提として認識しつつも、そこに拘りすぎることなく、能動的に関わる気持ちを持って欲しいと思っています。

SMO:いまOBの話が出ましたが、スポンサーや寄付金獲得といった面で、パーパスを引き合いにOBに共感して協力してもらうというのも、パーパス策定のきっかけの1つだったかと思います。新入部員獲得など、パーパスをすでに活用できていることや、今後の展開や活用方法などあれば教えてください。



ホッケー部: 現状活用出来ている部分は少ないですが、今後の活用としては色々と考えていて、スポンサーの獲得はそのうちの1番ですね。東大の部活のうち、スポンサーを獲得しているいくつかの部活にヒアリングを行ったのですが、そこで分かった事として「何を目指している部活なのか」を端的にアピールすることが重要で、そこに共感してもらえるかどうかがスポンサー獲得の成否を大きく左右します。東大ホッケー部はアピールの段階で大きな課題を抱えていましたが、パーパスの作成によりそこはクリア出来たと考えています。また、新入生獲得に関しても大きな進歩だと思います。一言で部活の存在意義がわかるのは新入生にとっては大事だと思います。東大の新入生だけでなく、スタッフ志望の他大生なんかにも分かりやすいアピールとなって良いと思います。


SMO: 私たちとしても、パーパスの概念が、こうやって学生団体までどんどん広がっていくのは嬉しい限りです。今後、同じように学生団体としてパーパスを策定していきたいと思っている組織に向けてなにかアドバイスはありますか?


ホッケー部: かなり大変なので覚悟はしといてください(笑)。とはいえ、部のことだけでなく自分のことを考える良い機会だと思うので、楽しんで欲しいなと思いますね。パーパス作成の過程でOBさんに意見を伺うことは多くあったのですが、その中で「なんとなくの折衷案とかでプロジェクトを進めるより、きちんとした強固な結論を出してから進める方が良い」と言われたのが印象に残っています。部のみんなの意見を聞く時間を楽しみつつ、納得いくまでじっくりと進めて欲しいですね。


SMO: 策定のプロセスは、紆余曲折はありながらも、自分に向き合う機会でもあり、チームの結束にもつながりますよね。では、最後に、皆さんのほうで締めをどうぞ。


ホッケー部: まずは、作成に関わってくださったSMOの方々やOBさん、他大学のホッケー部の方々、チームメイトに感謝します、ありがとうございました。

パーパス作成前は、自分のプレーにかかりきりで過ごしてきました。ですが、パーパス作成を通してチーム全体を見渡すことが増えたり、部外から見た東大ホッケー部の印象みたいなものを考えることが多くなりました。大学を代表する「運動会」という組織の中で自分が残りの期間どう過ごしていくべきかのヒントになりました。

貴重な経験が出来たと思います。


SMO: ありがとうございました。益々のご活躍をお祈りしております!

 

東京大学運動会ホッケー部BULLIONS


 1925年創部、数年で100周年を迎える伝統ある運動会。

現在は2部リーグに所属、部員のほとんどが初心者ながら、経験者集団である一部校を倒すジャイアントキリングとなるべく、「二部優勝・一部昇格」を目標に掲げるも、2022年秋リーグでは準優勝に終わる。現在、1年生4人、2年生6人、3年生2人の12人が、少人数だからこそのチームワークを武器に活動中。


(画像は、小田さん、 國崎さん、 山内さん、 郷中さん、ほかに、吉田さん、内村さんにも記事作成・インタビューご協力いただきました)


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