(画像:ジャニーズ事務所公式サイト トップページより)
ジャニーズ事務所の性加害問題への対応に、日本中だけでなく世界からも注目が集まっています。
この問題が明るみになるにつれ、思い出されるのが、私が留学のために渡米した直後の99年ごろのことです。信頼できるアメリカ人の友人に、日本のジャニーズというアイドル事務所は、オーナーが性加害に問われて、裁判があったんだってね、NYタイムズか何かで読んだよ、と言われ、当時無知だった私は、そんなことは聞いたこともない、日本で誰もそんなニュースは伝えていないし何かの間違いに違いない、と真っ向から友人を否定したのです。当時はスマホもありませんでしたから、その場でネットで確認、ということもできません。
そのころ、ニュースや情報はTVや紙媒体の新聞・雑誌メディアが主でした。少なくとも当時大学生だった私の耳に入ってくる形で、日本のメディアで報じているところはありませんでした。そんな私にとって、日本人の私が知らないのに、日本のことをよく知らないあなたが何を言っているんだ、という感覚でしかありませんでした。ところが数年経ち、インターネットにも情報が溢れ始め、ちらほらとそんな話が噂レベルで流れてきました。そこにきて、今のこの騒ぎです。
2016年に日本に帰国してSMOに参加してから少し経って、代表の齊藤が外国語を習得する意味について、こんな話をしたことがあります。「海外の本や、メディアを、その国の言葉で理解できるようになることは、日本の中にいて日本語だけでは知り得なかった知識や情報にアクセスできるようになるということ。そこから、今と違う視点で見てみることや、一歩引いてみて視野を広げ、その上で正しい情報選択ができるようになること、その視点を仕事や生活に活かせるようになることが、外国語を習得する意味だ」といったような内容でした。それを聞いて、当時すでに明るみになり始めていたジャニーズ問題、そしてずいぶん昔に、友人を否定したことを思い出しました。自分の無知さを恥じるとともに、日本の規制されたメディアからの情報だけで思い込みにとらわれ、友人を信じようとする姿勢も見せなかった過去の自分に反省しきりでした。
ジャニーズについては詳しくないので、事件について触れるのは避けますが、今回のこの問題は、日本のメディアのあり方について、改めて問題提起するきっかけとなったのは間違いありません。すでに、言語のバリアは、翻訳技術の進化を通じて低くなりつつありますが、言語設定や、国や地域設定しだいで、アクセスできる情報は操作され、限られているという事実は、ちょっとしたGoogleの検索などからでも、皆さんお気づきでしょう。
日本という国が世界の中でどのように報道され、どう見られているのか。多くの視点からたくさんの情報を得て、その中から賢い情報選択をすることは、今後日本がガラパゴスから脱却し、世界の中でどう立ち振る舞うべきなのかを知るために必要なことであるのはもちろんのこと、国際化に向けて個人レベルでも、身につけておかなければならないこと、次世代を担う子供たちにも伝えていくべきことだと、実感しています。
最後に、余談にはなりますが、ジャニーズの理念を調べてみました。
"Bringing Smiles and Sensations to Your World 笑顔と感動の輪を、世界に"
これらが公式サイトに明記されていました。
所属タレント達に、「幸せをお届け」するどころか、深い傷を追わせることになったジャニーズ事務所が今後、世界に笑顔と感動の輪を、そして幸せを届けることができるように復活できるかは、この理念に立ち返り、真摯に向き合っていけるかどうかにかかっているのではないでしょうか。
(エスエムオー 高橋 苗)
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