SMOでは今年も、東証プライム上場のパーパス策定企業の全ステートメント「PURPOSE STATEMENT 2024」を公開しました。その数は前年の164社から236社まで増え、紹介する対象ステートメントも数多くなりました。これらのパーパス・ステートメントを分析し、その考察をお届けします。
今回は、これらのパーパス・ステートメントにおける「対象」にフォーカスしてみましょう。
パーパス・ステートメントの多くは、企業が何に対して、誰に対してよい影響や変化をもたらしたいのか ーつまり、パーパスの「対象」を明示しています。企業やブランドによって、この「対象」は異なります。各企業によるさまざまなこれら「対象」について見てみましょう。
未来
まずは最も抽象的なレベルである「未来」です。例えば、大和ハウスのように、未来にポジティブな影響をもたらすことを目指す企業のパーパス・ステートメントがあります。
大和ハウス:
「生きる歓びを、未来の景色に。」
SOMPOホールディングス
「“安心・安全・健康”であふれる未来へ」
世界
次に、「世界」を対象とするパーパス・ステートメントです。ソニー、MUFG、日本ペイントなどがその例です。
ソニー:
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」
MUFG:
「世界が進むチカラになる」
日本ペイント:
「サイエンス+イマジネーションの力で、わたしたちの世界を豊かに」
社会
さらに一段階下がり、「社会」を対象とするパーパス・ステートメントです。ブリヂストンがその例です。
野村ホールディングス:
「融資本市場の力で、 世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」
千葉銀行:
「一人ひとりの思いを 、もっと実現できる地域社会にする」
人
最後に、「人」(「顧客」を含む)を対象とするパーパス・ステートメントです。オリンパス、ぐるなび、かんぽ生命などが該当します。
オリンパス:
「世界の人々の健康と安心、心の豊かさの実現」
ぐるなび:
「食でつなぐ。人を満たす」
かんぽ生命:
「お客さまから信頼され、選ばれ続けることで、お客さまの人生を保険の力でお守りする」
対象のスペクトラム
これまでの例からわかるように、パーパスの「対象」は「ミクロ」から「マクロ」までのスペクトラム上にあります。「人」、「社会」、「世界」、「未来」のカテゴリーが存在します。
複数の対象
単一の対象だけでなく、複数の対象を持つパーパス・ステートメントもあります。
東京海上ホールディングス:
「お客様や地域社会の"いざ"をお守りすること」
富士通:
「イノベーションによって社会に信頼をもたらし世界をより持続可能にしていくこと」
三つ以上の対象
さらに、三つ以上の対象を含むパーパス・ステートメントもあります。
味の素:
「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献する」
東京ガス:
「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる」
コマツ:
「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」
パーパス対象表
これらの例をもとに、「パーパス対象表」を作成しました。この表は、「人」、「社会」、「世界」、「未来」の各カテゴリーに該当するパーパス・ステートメントを一覧で示しています。
この表を用いて、競合企業のパーパス・ステートメントをマッピングしてみてください。自社のパーパス策定や戦略において、多くの洞察が得られるでしょう。直接的および間接的な競合企業のパーパス・ステートメントを分析する際にも、この表の使用をお勧めします。
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