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  • 執筆者の写真smo inc

「本物の物語」から、地球も企業もwin-winに:平原依文のサステナビリティコラム⑤

更新日:2月1日

こんにちは!SMOのサステビリティコンサルタント 平原依文です。


皆さんは「サステナビリティ」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?

まず浮かぶのは、「地球にやさしい」ということだという方が多いのではないでしょうか。

もちろんそれは正解です。しかし、企業がサステナビリティへの取り組みを行う時、それが「企業にもやさしく」なければ、続けていくことができなくなってしまいます。


では、「企業にやさしい」とはどういうことでしょうか?

それは、「選ばれる」こと。サステナビリティを重視したサービスや製品は、通常よりも価格が高かったり、利便性に欠けることから、消費者に選んでもらえないケースが多くあります。その壁を超えるために、どんなことができるのか。話題を呼ぶサステナビリティ事例を、「物語」をキーワードに紐解きます。



「ストーリー」が心を掴む付加価値に


ファッションブランドのビームスは、原宿に「モノを売らないお店」を期間限定オープンし話題を集めました。「モノを売らない」とは、どういうことなのでしょうか。

同店で行われるのは「物々交換」。さらに特徴的なのは、モノだけでなく「想い」も交換するところ。店頭には、ビームスのスタッフやクリエイターがセレクトした想い入れのあるアイテムが並び、来店者も同じく想い入れのあるアイテムを持参し、想いをつづったタグを見ながら出品物と“想いを交わす”ことで交換できる仕組みです。初日にはオープン前から列ができ、3日間で約1,200点の交換が成立しました。 環境への影響が非常に大きいといわれるファッション業界。服のリユースに関する取り組みは数多く存在しますが、服をお店まで持っていくことにハードルがあったり、そもそも「服を大事に長く着る」という考え方が定着しなければ問題の解決には繋がりません。モノにストーリーという付加価値をつけることで、足を運んでもらうきっかけづくりに成功し、自分が今持っている服への愛着、これから買おうとする服を大事にする意識も醸成しています。



「なぜ、なんのために企業経営するのか」がストーリーの起点


「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」をミッションに掲げ、経済性と社会性を両立した経営において世界的なリーディングカンパニーであるアウトドア製品ブランドのパタゴニア。街を歩いていると、若者から家族連れまで幅広い世代がパタゴニアのTシャツやアウターを着ているのを目にします。ストーリー性のあるマーケティングが特徴のパタゴニアですが、支持される理由はその嘘偽りのない物語とわかりやすさにあります。


パタゴニアのウェブサイトには、「ストーリー」というページがあり、気候変動や環境汚染の実情をドキュメンタリー形式で伝えるショートムービーを公開しています。アニメーションや、映画のような壮大な映像が使われており、何が問題でどんな行動が求められるのか、「勉強している」感覚なしに自然と理解できる内容になっています。パタゴニアのウェブサイトには、「ストーリー」というページがあり、気候変動や環境汚染の実情をドキュメンタリー形式で伝えるショートムービーを公開しています。アニメーションや、映画のような壮大な映像が使われており、何が問題でどんな行動が求められるのか、「勉強している」感覚なしに自然と理解できる内容になっています。



パタゴニアの製品を長く使うための方法を紹介するウェブサイトWorn Wearでは、「一つのものを長く使おう」というメッセージを「ストーリー」として発信するだけでなく、それを実行する方法をわかりやすく示しています。また、世界観を体感できるポップアップストアも定期的に開催されています。



あえて「サステナブル」と謳わなくてもいい。お客様も「物語」を作る一人に


代官山駅前に開業したフォレストゲート代官山。その一階には、サーキュラーコミュニティ「CIRTY」による、カフェが併設されたフラワーショップがあります。

カフェでは「食べることで気軽にサーキュラーエコノミーに参加できる」サラダやスープが販売され、開放的でフォトジェニックなイートインスペースで食べることができます。

フラワーショップでは規格外により市場に出なかったり、売れ残ってしまったことが理由で廃棄されてしまうロスフラワーを主に取り扱い、お花選び、お会計、ラッピングを全てお客さんがセルフで行う仕組みです。

駅の目の前という好立地、外観や内装、商品の代官山らしいオシャレさから、普段「サステナブル」を意識していない層にもアプローチすることができています。いいなと思って買ったものが実はサステナビリティに貢献していた。そんな消費体験を作ることができれば、企業も消費者も負担なく続けることができそうです。


 

いかがだったでしょうか。今回ご紹介した三つの事例はどれも、取り組みの「伝え方」において「本物の物語」を通じて関係者の心を掴み、「選んでもらう」ことに成功しています。


より多くの人に届けるために、どんな見せ方、伝え方ができるのか。「物語」について考えることが、地球も企業もwin-winな仕組みを作るために必要なのではないでしょうか。


 

平原 依文(ひらはら・いぶん)

SMO 広報・PR / サステナビリティコンサルタント

HI合同会社 代表


小学2年生から単身で中国、カナダ、メキシコ、スペインに留学。早稲田大学国際教養学部卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンで、デジタルマーケティングを担当。その後、多企業で広報とブランドコンサルティングを推進。2022年には自身の夢である「社会の境界線を溶かす」を実現するために、HI合同会社を設立。SDGs教育を軸に、国内外の企業や、個人に対して、一人ひとりが自分の軸を通じて輝ける、持続可能な社会のあり方やビジネスモデルを追求する。 青年版ダボス会議 One Young World 日本代表。Forbes JAPAN 2021

年度「今年の顔 100人」に選出







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