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執筆者の写真smo inc

ブランディングの基礎(パート6)

更新日:2月6日

ブランディングの基礎についての本連載では、SMOのパーパス・コンサルタント、ジャスティン・リーが、ブランドとは何か、ブランディングとは何か、そして、ブランディングとパーパスとの関係を解説します。


第6回となる今回は、ブランド・アーキテクチャーを解説します。

 

強いブランドを築くためには


強いブランドはどのようにして築かれるのでしょうか?それは「ブランドとの良い体験・経験」を人の中に蓄積させていくことです。そのためにはあらゆる接点において、統一感と一貫性が必要となります。


これを可能にする2つの役立つ考え方、ブランド・アイデンティティとブランド・アーキテクチャーがあります。前回はブランド・アイデンティティを説明しましたが、第6回となる今回は、ブランド・アーキテクチャーについて説明します。



ブランディングの仕組み:ブランド・アーキテクチャー編


1つの組織が、企業ブランドや商品・サービスブランドなど、複数のブランドを持つ場合、それぞれのブランド間の相互関係を整理・決定するための枠組みが必要です。その枠組みが「ブランド・アーキテクチャー」です。


ブランド・アーキテクチャーの定義:

一つの企業内での異なるブランド間の関係を整理・決定するための枠組み

ブランディングが可能な箇所


企業内にはさまざまな階層があり、それぞれの階層でのブランディングが可能です。


「組織」の階層から見ると、組織全体のブランドであるコーポレートブランドが最上位のブランドです。また、事業部のレイヤーもあり、ここでもブランディングが可能です。一方、「組織が作りだすアウトプット」の階層を見ると、商品(サービス)カテゴリー、商品(サービス)ライン、個別商品(サービス)といったレベルでもそれぞれブランディングの対象となります。



ところが、それぞれのブランドの関係性を理解して、適した方法で相互ブランディングをしないと、逆効果になってしまう可能性があります。2つの視点から、関係性を探ってみましょう。



ブランド間の関係(1):上下関係


一つ目の関係は上下関係です。上位にあるブランドを「メイン・ブランド」、下位のブランドを「サブ・ブランド」と呼びます。


参考例として、ホテルチェーン業界のハイアットの例を紹介しましょう。



ブランド間の関係(2):メイン・ブランドの可視度と存在感(Visibility)

次に、可視度と存在感についてです。


「サブ・ブランドにおいて、メイン・ブランドがどの程度、存在感を示し、目立っているか」


これはメイン・ブランドとサブ・ブランドとの間で重要かつ特殊な関係性を示しています。


ハイアットのの場合、「ハイアット」がメイン・ブランドとなっています。その下には「パーク・ハイアット」や「グランド・ハイアット」「ハイアット・リージェンシー」など、多様なサブ・ブランドを擁しており、それぞれメイン・ブランドである「ハイアット」の存在感が明確に打ち出されています。


一方、ブランド名に「ハイアット」が含まれないサブ・ブランドもあります。「アンダーズ」や「トンプソン・ホテルズ」がそうです。


加えて、「キャプション・バイ・ハイアット」のような中間的なサブ・ブランドも存在します。「ハイアット」の名前は含まれているものの、控えめな表現にとどめられています。




参考:メイン・ブランドの存在感はどの程度が適切か


メイン・ブランドがある場合、商品や事業部門のブランディングにおける重要な論点は、メイン・ブランドの存在感をどの程度にするか、です。


メイン・ブランドを全面に出すことが望ましいケース

メイン・ブランドを全面に出す状況は以下の通りです:

  • メイン・ブランドを目立たせることで、サブ・ブランドの価値が高まる場合。例えば、ターゲットとする市場でメイン・ブランドの認知度が既に高い場合などがこれにあたります。

  • サブ・ブランドの新規ブランド構築に必要なリソースが不足している場合。

メイン・ブランドを出さないことが望ましいケース

メイン・ブランドの存在感を出さない状況は以下の通りです:

  • メイン・ブランドとサブ・ブランドのブランドアイデンティティが適合せず、一緒に打ち出すことで相乗効果が得られない場合。

  • メイン・ブランドに悪影響が及ぶことを避けたい場合。例えば、新市場への実験的進出を試みる場合などがこれにあたります。


メイン・ブランドの存在を控えめに示すことが望ましいケース

メイン・ブランドの存在感を控えめにする状況は以下の通りです:

  • メイン・ブランドとサブ・ブランドのブランドアイデンティティに大きな隔たりがあるものの、メイン・ブランドのブランド価値や知名度を活用したい場合。

  • 新規ブランド構築に必要なリソースが不足している場合。


 

以上でこちらのシリーズが終了です。

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