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(後編)パーパス・ドリブンな組織を認定する世界初の規格PAS 808を発表したBSI(英国規格協会)の日本におけるパーパスとは?

更新日:2023年6月27日

(この記事は後編です。前編はこちら

 

国際的に歴史のある規格協会であるBSI(英国規格協会)が、パーパス・ドリブンな組織を認定する世界初の国際規格PAS 808を発表。このニュースを受けて、BSIグループジャパン株式会社の 代表取締役社長である漆原 将樹氏に、詳細をお伺いしました。


(インタビュー:SMO 齊藤三希子)

 

日本においてパーパスの概念の浸透が遅れている理由


前半よりつづく)


齊藤:お話を進めていく中で、規格の重要性がよく分かりました。調査の中で、日本と同じアジアでも、インドや中国のパーパスの概念の浸透が進んでいるという結果が出ているのですが、こちらの要因はどうお考えですか?


(BSIジャパン提供 企業の「存在意義(パーパス)」に関する意識調査結果より


漆原さん:新興国においては個人の頑張りが反映されていると思います。経済成長も年間 GDP 成長率で平均 8.8% とか 2 桁に近い伸びをしてるところは特に、それぞれ個人個人で目的意識を持って、ハングリー精神でここから抜け出したいという意識が強いですね。


齊藤:インドや中国などのグロースが著しい国ですと、経済が優先になりがちで、パーパスが浸透してるというのは意外な感じもします。


漆原さん:経済成長の中にopportunityがたくさんあるからだと思います。彼らの感覚だと「勤続 3 年ってすごいでしょ!」と言っていたりして、このようにジョブローテーションが非常に活発で流動性が高いところ、またGreat Resignationと言われるコロナ以降の世の中では、パーパスがより必要なのではないかと思います。お金だけでは限度がありますし、同じ会社で頑張っていこうという帰属意識も含め、パーパスがないとタレントマグネットとして社内外のタレントを引き付けるのが困難な社会になってきたと考えています。組織のパーパスに共感し、その実現に向けて意欲的に働く社員は、その生産性と創造性によりアイデアやイノベーションを生み出す傾向にあります。またお客様も同様に、組織のパーパスに共感し、価値観を共有することができれば、強固な信頼関係を築いていくことができ、新たなビジネスの機会にもつながります。社員やお客様、そして様々なステークホルダーと共に社会課題に立ち向かうこと、これらが企業にとってより大きな価値を創造していくことになります。


実際に、パーパス経営に着目している投資家は増加しており、パーパスに基づく社会的インパクトを定量的に測定し報告している企業に投資するというトレンドは無視できなくなっているという研究結果もあります。つまり、今後一層、パーパスは成長の原動力になっていくと考えます。


またインドと中国がグローバルでマーケットを広げていくなかで、グローバルスタンダードを使って仕掛けているっていう気がしますね。


齊藤:なるほど。日本は輸入に頼っているし、最近は変わってきたとはいえ、まだまだ終身雇用の意識も残っていますね。


漆原さん:日本の1-3月期の実質 GDP 成長率は 0.7% しかなくて、失われた20年、30 年と言われてるなかでどんよりした雰囲気もあり、テレビをつけても暗いニュースばかり目立ち、なかなか前向きになれない人が多いのを日々感じます。こちらから見える渋谷の周りは開発が進んでいる一方で、停滞してきてるところとの差があります。まだ終身雇用や年功序列を重視している企業が多い・・・その差だと思います。



パーパス策定需要は今後ますます増えていく


齊藤:先日SMOでは、プライムに上場している企業でパーパスを理念として掲げているところを洗い出して、パーパスステートメントリストを公表しました。去年は 91社だったのが、今年は 164社まで増えました。これについてはどう思われますか?

 (SMO調査資料 PURPOSE STATEMENT LIST 2023)


漆原さん:パーパスを策定する企業は確実に増えると思っています。今特に日本で起きている大きなメガトレンドは、財務情報だけではなくて、非財務情報の開示義務です。有価証券報告書は4000社ぐらいの企業が出していますが、非財務情報を統合して統合報告書を出しているのはまだ 713社程度で、 3000社以上がまだできていないんです。投資家目線で考えた時には、これらを開示できている会社の方が安心して投資できるので、このトレンドは増えていくでしょう。

齊藤:非財務情報の開示をするにも、まず「自分たちの組織がなんのためにあるのか?」であるパーパスを明示して、サステナビリティを含めすべての方針がそのパーパスに沿ったものであるかということを示さなければ、見る側も納得できませんね。その軸となるものとしてのパーパス策定が、より増えていくということですね。


漆原さん:人的資本の活用、環境、ガバナンス- ESGに対して真摯にできているか、それがきちんと基準に照らし合わせて出来ているか、第三者が見た時にも第三者意見書として担保できるような仕組みがより一層必要になってくると思っています。


齊藤:今回のPAS808では、まだそれをカバーしてないという認識で良いでしょうか?


漆原さん:PAS808自体はガイドラインであって、現状は認証スキームではありません。認証スキームにしていくかどうかはマーケットの需要次第ですが、 1 つの方向性として考えているのは、会社のパーパスを投資家への意見書として出して欲しいというニーズに対して、PAS808のガイドラインに沿った形での保証書を出し、統合報告されることで信憑性を上げることができると思っております。


もう 1 つ今後の展開として考えられるのは、PAS808をベースに、個人に対して資格を付与するという資格認定です。 5 年後も同じパーパスかというと、企業様によってはアジャイルに対応しないといけないところもあります。そういったものをしっかりと理解したPAS808認定の専門家がいれば、企業を支援する際に信頼性が生まれますし、企業の内外でいろんな形で活躍できる場が広がると考えております。



齊藤:さて、先ほど終身雇用の話もありましたが、日本で世代間の働くことへの捉え方の違いや、離職率については、パーパスという視点からみて、いかがですか?


漆原さん:社内のエンゲージメントだけではなく、先ほど申し上げたタレントマグネットとして良い人材をしっかり掴んで離さないようにするには、パーパスはとても重要だと捉えています。特に今のZ世代の人たちは特にパーパスに共鳴して入られる方が多いのですよね。次にアルファ世代もくるわけですが、金銭的なモチベーションよりもパーパスの重要性は間違いなく増えていくのではないかと思います。

特に日本においては就業人口が減ってきて、近い将来に就業人口が 600万人足りなくなると言われるなかで、人材の取り合いになる。そこで給料をいくら出せるかではなく、ちゃんとしたパーパスがないと今の人たちは中長期的についてこなくなると思います。



レジリエンスで日本を元気にしたい  


齊藤:ありがとうございます。では、最後にBSIと漆原さんのパーパスをお聞きしたいと思います。


漆原さん:グローバルBSIとしては、「Inspiring trust for a more resilient world」レジリエントな世界を目指し信頼性を高める、というのが我々のパーパスです。


それを踏まえて冒頭申し上げた、「Simplify」「Standardize」「Improve」をコアバリューとして人々の生活、社会、地球が豊かになるように信頼性を高めていくこと、これがBSIジャパンのパーパスだと思っています。  


その結果として日本を元気にしたいですね。失われた20年、30年と言われ続け、暗いニュースも続いているなかで、より日本を元気にしていくことに価値を見出したいと思っています。規格を作っている、というと堅いイメージですが、私は常に社内で伝えていることは「Bar Raiser、より高い標準を示して社会のバーを上げていく存在でありたい」ということです。特に情報セキュリティ・情報マネジメントシステムの世界だと我々は20年間強、マーケットリーダーであり続けているんです。どんどん変わりつづけていく世の中で、一歩先の世界を見越して未来の世界を定義し、お客様、社会が上手くレジリエンスに成功するお手伝いをするなかで、そんな元気な社会を作っていきたいと思っております。そして、我々の社員全員が面白い、楽しい、やりがいがあると思って力を発揮できる組織をつくり強化していきたいと考えています。


齊藤:素晴らしいですね!日本を元気に、というのは、本当に日頃から私も思っております。今後なにかSMOでもぜひご一緒できることがあれば嬉しいです。本日は、ありがとうございました。



 

漆原 将樹(うるしはら・まさき)

BSIグループジャパン株式会社 

代表取締役社長 

兵庫県神戸市出身。

一橋大学大学院国際企業戦略研究科(MBA)修了。

パナソニック、GE、GEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ(現日本ベーカーヒューズ)センシング事業アジアパシフィックGeneral Manager、シェフラージャパン産業機器事業部 プレジデントを経て2021年7月よりBSIグループジャパン株式会社 代表取締役社長に就任。





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