Doveは今年、18年の時を経て、全米最大のスポーツイベント・スーパーボウルでのCM出稿に久々に返り咲いた。若い女性アスリートの”自信”にスポットを当て「Hard Knocks」と題されたこのキャンペーン広告は、体操、アイススケート、バスケットボールなどの女子選手が転んだり落ちたりとインパクトのあるモンタージュで始まる。
広告では、いったん間をとって、ナレーションが入る。「彼女らが競技をやめてしまうのは、このような挫折が理由ではない。女子選手が競技を辞めてしまう45%の理由が、身体に自信が持てないからだ」。そして最後に、Doveが主催する、身体に自信を持つための”Body Confident Sportプログラム”に参加するよう保護者に呼びかける。DoveのこのスーパーボウルCMでの取り組みは、同ブランドの長年にわたる女性エンパワーメントへのコミットメントを象徴するものだ。
Doveのパーパスをスポーツの領域で解釈する
Doveは、スポーツの代名詞とも言えるスーパーボウルを活用して、キャンペーンの中心にスポーツをする女の子たちを戦略的に据えた。さらに、スポーツ企業のアイコンであるナイキと提携した。両社は共同で調査を行い、共同イニシアチブで”Body Confident Sportプログラム”を立ち上げた。つまりそれは、若い女性アスリートが健康的な身体に自信を持てるようにするために、コーチに対し、ツールや情報提供をするものだ。
また、このスーパーボウル・キャンペーンは、Doveの長年にわたるブランド・パーパス「すべての女性と次世代のために、美をポジティブな体験に変える」(to change beauty into a positive experience for every woman and for future generations)に根差していることも注目に値する。Doveはそのパーパスを通じ、今回の件がスポーツ領域での喫緊の社会問題と捉えている。このキャンペーンを通じて、女性の包摂性、自尊心、エンパワーメントを育むというDoveブランドの大きな役割をさらに高めることになるだろう。
パーパスに沿ったパートナーシップ
Doveのこの「Hard Knocks」キャンペーンから、ブランドのパーパスに沿ったパートナーシップがいかに重要で強力であるかがわかる。Doveとスポーツ界のリーダーであるナイキのコラボレーションが理にかなっているのは、両者がスポーツという文脈でうまく機能しているからだけではなく、お互いのパーパスに相補的な相乗効果があったからだ。それこそがこの取り組みの目標を相互に強化していると言えるだろう。
ナイキのパーパスは「スポーツの力で世界を前進させる。ナイキは、世界中の競技機会を均等にし、皆のプレイグラウンドを守り、あらゆる人々がスポーツをする機会を増やす」(T move the world forward through the power of sport. Worldwide, we’re leveling the playing field, doing our part to protect our collective playground, and expanding access to sport for everyone.)。若い女性アスリートの自信、そしてインクルーシブ促進という側面から見ても、両ブランドのパーパスは強く絡み合っている。このパートナーシップは、パーパスが一致する企業どうしが組むことでインパクトを増幅させることを象徴している。これはムーブメントを起こすための重要な戦略だ。ナイキと戦略的に提携することで、Doveは、両ブランドの存在意義に関わる社会問題に対して真の変化を起こすであろう志高いプログラムを立ち上げることができるようになるのだ。
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