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  • 執筆者の写真smo inc

パーパス経営の実践:米国家電量販店Best Buyの成功事例 パート2

更新日:1月11日


Best Buyの事例紹介となるこのシリーズでは、アメリカの家電量販店であるBest Buyが、 どのように自社のパーパスを活用してマーケティング戦略(ターゲティング、製品、流通)とCSR戦略を推進していったかを探る。また、社内でどうパーパスを活性化していったかについても見ていきたい。

  

前回の記事では、Best Buyのパーパスがどのように新しいアイデアや新戦略を生み出したかを紹介した。2回目である今回は、Best Buyがパーパスというレンズを活用することで、企業がより良い意思決定ができるようになるという事例をご紹介する。



店舗内ミニストア戦略


まずは、同社の店舗戦略について詳しく見てみよう。顧客来店を増やすため、Best Buyはサムスンやソニーなどのベンダーと戦略的パートナーシップを結び、Store-within-a-store(店舗内ミニストア)というコンセプトを打ち出した。これは、Best Buy店舗の一角に、各ベンダーのブランドと製品を紹介する小店舗を設置するものだ。


この戦略は、それぞれのベンダーの製品を実際に見て試したいという顧客にとって、大きなメリットとなった。ミニストアでのブランド体験は、特定のベンダーの製品群を網羅しているため、そのブランドの製品とその付属品がどう連動しているのかを知ることができる。


これがBtoB戦略として、新たな収益の柱になっていった。ベンダーにとっても、以下のような価値がある:

  • 店舗に投資することなく、顧客との接点を増やすことができる。

  • 他ベンダーの商品が隣り合わせに置かれる他の小売店とは異なり、自社ブランド体験のミニチュア版を提供できる

ここでBest Buyのパーパスが活きてくる。


店舗内ミニストアというコンセプトによって、各ベンダーの製品がどのように連携し、生活を向上させるかをユーザーに理解してもらうことができる。そこには、「テクノロジーで生活を豊かにする」というBest Buyのパーパスとの合致が見られる。



競合他社との提携


マイクロソフト、ソニー、LG、AT&T、グーグル…これらのベンダー、サプライヤーとの提携は、いずれも理にかなっていると言えよう。では、一番の競合である、アマゾンはどうだろうか?


2018年、アマゾンはFireTVテクノロジーを内蔵したスマートテレビを発表した。Best Buyはこれをアマゾンと協業するチャンスと捉え、アマゾンのミニストアを作り、Best Buyの顧客に広くスマートテレビを紹介していった。



パーパスがイノベーティブな意思決定を可能にする


アマゾンとのコラボレーションにおいても、パーパスは重要な役割を果たしている。ビジネス的には、企業が主な競合と提携するということはあまり行われず、推奨されていない。だがBest Buyの場合、「テクノロジーによって生活を豊かにする」というパーパスを戦略に反映し、別の視点から見るようにしたのだ。Best Buyは競合のアマゾンと提携することで、顧客が生活にスマートテレビを導入することになる。それが、Best Buy自分達のパーパス実現に役立つと考え、徹底的に検討することができたのだ。



この事例から得られる重要な洞察 


パーパスが企業に新たな可能性と多様な機会を探求させ、イノベーションを推進する力があるのだ。それにより、企業は「NO」がデフォルトだったはずの意思決定を、少なくとも再考する機会を得ることができる。




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