苦境に陥っていたアメリカの家電量販店Best Buyが、パーパスを軸にいかにマーケティング戦略(ターゲティング、製品、流通)とCSR戦略を立て再生したかをご紹介するこちらのシリーズ、最終回となる今回は、パーパスを活性化させるために彼らが実践した社内戦略について見ていこう。
パーパスドリブンを目指す組織にとって、リーダーが社員に向けてパーパスを伝えることは方程式の半分に過ぎない。組織内部の人々が、その伝えられたパーパスを信じているかどうかが、もう一つの重要な部分となる。
ストーリーを通じたパーパスの活性化
そのパーパスはオーセンティックであり、組織にとって嘘のないものとなっているか?Best Buyがその信憑性を高めるためのアプローチの1つが、ストーリーを使ったものである。
Best BuyのCEOは著書の中で、こう説明する:
「私たちの脳は、ストーリーを通じて繋がるようにできており、物語に意味やインスピレーションを見出します。従業員、顧客、地域社会、そしてそれらが互いの生活にどのような影響を与えているかといった、日常的なストーリーを語ることで、組織のパーパスに対する感覚を養い、働く場所や、チームメンバーとのつながりを築くことができるのです。」
Best Buyのパーパスを示すストーリーを集めて公開するというシンプルなアプローチだが、ジョリーが挙げるBest Buyのストーリーの例としては、
Best Buyの従業員が、壊れた恐竜のおもちゃを修理して子供を喜ばせた話
従業員がホームレスの退役軍人やカリフォルニアの山火事の被災家族を支援した話
音声操作できる照明スイッチとドアロックを設置することで、障害を持つ女性の生活を変えたホームアドバイザー
などがある。
積極的にパーパス・ストーリーの創作を促進し、共有していくことが重要だ。それは、パーパスを使った教育事例となりうるだけでなく、各ストーリーが信憑性を築き、パーパスをより信じられるものにする。
まとめ
このシリーズでは、Best Buyのパーパス戦略を3つの視点から取り上げた。
顧客向け戦略
地域社会向け戦略
従業員向け戦略
ストーリーによるパーパスの活性化
これらの事例が、あなたの組織でのパーパスに基づいたマーケティング戦略、CSR戦略、アクティベーション戦略を構築する上での参考や刺激となれば幸いである。