前回より始まったブランディングの基礎についてお話するこちらの連載。全編を通して、ブランドとは何か、ブランディングとは何か、そして、ブランディングとパーパスとの関係についてを、弊社コンサルタントのジャスティン・リーが解説するシリーズとなっています。
前回の第一回では、ブランドとは何か、そして、優れているブランドは実際何が可能にするかについてを見ていきました。
今回は、ブランディングについて見ていきましょう。
ブランディングとは
前回は、「ブランド」についての理解を確認しました。それを踏まえ、今回は、ブランディングとは何かについて説明したいと思います。
もう一度ブランドの定義をおさらいしましょう。
ブランドとは、それが何者であるかを理解するための、特定の人・場所・モノに連想することのセット(集合体)です。
上記を踏まえて、ブランディングとは、経営活動・企業活動において、この「ブランド」を形成することを指します。
ブランディングの二つの捉え方
ここで、ブランディングの2つの捉え方についてお話しします。それは、狭義のブランディングと、広義のブランディングです。狭義のブランディングは、いわゆる「見た目をよくする」というもので、主にビジュアルコミュニケーションが中心です。一方、筆者が語るブランディングとは、広義のブランディングになります。広義のブランディングでは、企業経営における全ての活動がブランディングの対象となっています。
ブランディングにおける二つのアプローチ
銀座四丁目、ある大手総合商社の本社ビルの地下1階に、10席ほどのカウンター席でなる寿司屋があります。それがすきやばし次郎です。2008年には、寿司店として世界で初めてミシュランガイドから三つ星を授与され、国内外から高い評価を得て、2014年にはオバマ前大統領の訪日時の接待場所となりました。店主を追ったドキュメンタリー映画は世界的ヒットとなり、ご存じの方も多いことでしょう。
すきやばし次郎は、本物の味と職人魂を感じさせる人気ブランドとなりました。しかし、これはあくまでも私の想像ですが、店主の小野二郎氏がブランディングに詳しいとは思えず、恐らく、彼は日々ブランディングを全く意識せず、寿司を作り続けているでしょう。これから考察できるのは、必ずしも意図的にブランディング活動を行わなくても、また、ブランディングを意識しなくても、ブランドは形成されるということです。
一方、スターバックスの場合、彼らは意図的にブランディングを行っています。ロゴのデザイン、色彩の選択、語り口調、文字の書体、写真のスタイルなどは細かく設定され、それに基づいて顧客体験をデザインしています。さらに、現場から本部までの従業員の意思決定と行動の整合性を保つため、スターバックスの理念を体系化し、徹底的な研修と教育を行います。つまり、スターバックスは意識的に、従業員一人一人が理念に基づき、物事の判断や行動を行うことでブランドを形成しようとしています。
まとめ:すべての企業にはブランドがある
一つの企業が存在し続ける限り、その企業活動から確実にブランドは形成されていきます。そのブランドが強いか弱いかは別として、ブランドがない企業は存在しないのです。
まとめとして、強いブランドについて語る際、2種類の企業が存在します。
意図的に強いブランドを構築する企業
ブランディング自体を意識せずとも、自然に強いブランドが形成される企業
「ブランディングの基礎」
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